護送車の後部座席に警官にはさまれて座った女。真ん中で分けられたストレートの長い髪に、銀縁の眼鏡。嘘を言って男性から大金を巻き上げた「頂き女子」にはとても見えない地味な印象だ。ずっと下を向いて顔を見せなかったが、それでも周囲の様子が気になるのか、時おり上目遣いに周囲の様子を窺っていた──。 9月24日、警視庁中野署は職業不詳・江幡菜桜容疑者(25)を詐欺容疑で逮捕したと発表した。’24年に埼玉県の50代の会社員男性から「学費を滞納していて、払えなかったら除籍になる」と嘘をついて56万円をだまし取った疑いだ。 「江幡容疑者は勤務していた性風俗店に客として訪れた被害者男性と知り合い、LINEで連絡を取り合っていました。学費を理由に男性から56万円を受け取りましたが、実際には学費などは滞りなく払っていたようです。他にも、『亡くなったお母さんの借金』や『病院に医療費が必要』などとさまざまな理由をつけて、この男性から計1000万円以上受け取っていました。 また、江幡容疑者の自宅からは複数の人と交わした借用書も見つかっており、少なくとも被害者男性を含む2人から2200万円をだまし取ったとみられています。 だまし取ったお金の使いみちについては『ホストクラブや借金の返済に充てていた』と話しており、容疑を認めています」(全国紙社会部記者) この事件で注目されたのは、江幡容疑者のスマホから、男性に恋愛感情を抱かせて、金をだまし取るための「詐欺の手口マニュアル」が発見されたことだった。 パパ活の「詐欺の手口マニュアル」の草分けといえば、りりちゃんこと渡邊真衣受刑者(刑確定当時26)の『1ヶ月1000万稼ぐ頂き女子りりちゃんの【みんなを稼がせるマニュアル】』だろう。渡邊受刑者は1億5500万円以上をだまし取った詐欺罪、と詐欺マニュアルを販売した「詐欺幇助」の罪などで、今年の1月に懲役8年6ヵ月、罰金800万円の刑が確定している。 ◆有名アカウントが軒並み凍結されて… 今回の江幡容疑者の事件で使われたものが、それかどうかは定かではないが、かつて2万8000円で販売されていたりりちゃんのマニュアルの内容は、ネット上に広く流出していた。 「内容は頂き女子がターゲットとなる〝おぢ〟と信頼関係を築いたうえで、恋愛関係にあるという錯覚に陥らせ、〝おぢ〟が自らすすんで頂き女子のために貢ぐ状況をつくる、というもので、心理学の専門家から見ても、完成度の高いマニュアルでした」(パパ活事情に詳しいライター) 渡邊受刑者の逮捕後も、ネット上に流出した『マニュアル』は重宝され、類似の内容のマニュアルを公開するサイトも複数存在して賑わっていた。こうしたサイトからパパ活初心者の若い女の子たちはマニュアルを入手していたそうだ。だが、最近は少し風向きが変わってきたのだという。 「今年の8月にXの規約が厳しくなって、政治的に過激な発信をするアカウントの『凍結祭り』が話題になったことがありました。そのときにパパ活関連のアカウントも軒並み凍結されてしまったのです。現在はマニュアルは入手しづらい状況です。 かつてはX上に札束の写真などのパパ活の成果を投稿し、初心者にノウハウを伝授して稼いでいた『キラキラパパ活女子』なるインフルエンサーが何人もいましたが、そういったアカウントもほとんど凍結されてしまいました。頂き女子たちが『地雷パパ』や『神パパ』の情報や、診断書などの〝証拠画像〟を共有するための情報交換のコミュニティは存在しますが、鍵をかけてひっそりとやっている感じで、界隈はだいぶ落ち着いてきた印象です」(同前) 「頂き女子」の登場によって、話題のピークを迎えた感もあるパパ活ブーム。江幡容疑者の犯行のような例がどんどん取り締まられていくことで、今後は沈静化していきそうだ。 ※「FRIDAYデジタル」では、皆様からの情報提供・タレコミをお待ちしています。下記の情報提供フォームまたは公式Xまで情報をお寄せ下さい。 情報提供フォーム:https://friday.kodansha.co.jp/tips 公式X:https://x.com/FRIDAY_twit