佐野勇斗が、2025年10月8日(水)にスタートする連続ドラマ『ESCAPE それは誘拐のはずだった』(日本テレビ系)で、桜田ひよりと共にW主演を務める。演じるのは、桜田演じる社長令嬢を誘拐してしまう逮捕歴のある林田大介(通称・リンダ)という、朝ドラ「おむすび」(2024~2025年)のヒロインの夫役など、これまでとは違うキャラクターだ。 八神製薬社長の一人娘・八神結以(桜田ひより)が20歳のバースデーパーティーの日、会場のホテルから誘拐される。林田大介(佐野勇斗)は主犯格の男に指示されるままに結以を拘束して車で運ぶが、八神社長の部下に追い詰められる。だが、そこで人質の結以が「私と一緒に逃げて!」と言い出し、2人の奇妙な逃避行が始まる。 今回、佐野勇斗に新たな挑戦となった役への向き合い方、共演の桜田ひよりとのエピソードに加え、役者として現在の率直な心境を語ってもらった。 ――今回のドラマは金髪で、イメージがガラッと変わった感じがします。佐野さんは俳優だけでなく、ボーカルダンスユニット『M!LK』でも活動していますが、こんなに明るい金髪は初めてですか? 「いえ、グループ活動の方では何回か、金髪にしたことがあります。ただ、金色で、しかもこんなに長めの髪でというのは今までなかったです。役者としての僕しか見たことないよっていう人は、びっくりしたかもしれませんね」 ――それだけ気合いを入れた役ということですね。大介はどんな人物と捉えていますか? 「簡単な言葉で言うなら『地元のヤンキー』みたいな役(笑)。育った家庭が貧しかったり、特殊詐欺に関わって逮捕されたことがあったりと、誘拐事件を起こすまでの背景があります。でも、根はすごく優しくて人の気持ちが分かる青年なんです」 ――『令嬢とヤンキー』という異色バディの逃亡劇で、大介はワイルドな役とも言えますね。どうやって役を作っていったのですか? 「最初の台本読み合わせの時に、大介としての演技を何パターンか作っていきましたが、それがあんまりハマらなくて。休憩中、桜田(ひより)さんに『こうしてしゃべっている感じが、一番リンダに近いのでは』と言われて、ほぼ普段の自分の話し方やテンションのまま、やってみることにしました。なかなか演じる側としては勇気がいる決断ですけどね(笑)」 ――今どきの20代の男性であり、ちょっとぶっきらぼうという感じでしょうか? 「そうですね。今まで10年役者をやってきて、初めて見せる僕の姿だと思います。ビジュアルもそうだし、セリフのひとつひとつを言うのにも、あまり出していない僕の顔が見られると思うので、そこはぜひ見てほしい。荒っぽいセリフも全然違和感がなくて。今までの他の役、例えばオタクなキャラとかよりも、アドリブとかもペラペラ出てきています」 ――桜田ひよりさんとの共演はいかかですか? 役柄でも、実際の年齢も、桜田さんの方が年下になりますね 「桜田さんは、改めて演技が上手いなぁと思いました。細かい感情の変化の表現はもちろん、セリフの言い方がセリフじゃないというか、本当に結以が言っているようにしか聞こえない。本当に自然に役を落とし込んでいますよね。僕も、桜田さんのお芝居に引っ張られて、いつもよりセリフが言いやすい感じがします。アドリブを言うとその場で即座にラリーを返してくれるし、アクションでも、第1話で大介が結以に投げ飛ばされるシーンがあるんですが、桜田さんは合気道をやっていたように見えるよう、姿勢から矯正して臨んだそうで『この子、すご!』と思いました」 ――このドラマはサスペンスであり、例えば、なぜ誘拐された結以が大介に「私と一緒に逃げて!」と頼むなど、見る人は考察すると思いますが、佐野さんは結末はご存じでしょうか? 「はい、知っています(笑)。最初に企画書をいただいたときのものが変わらなければ…ということですが。果たして最後はどうなるのか? 言えないですが、すごい驚きがあると思います」 ――2024年、2025年とドラマ出演が続く中で、今年何か学んだことやプラスになったことはありますか? 「今年はバク転ができるようになりました(笑)。というのは冗談として、2024年後半からスケジュール的にたいへんだったので、そういうときっていろんな感情が出てくるじゃないですか。『眠い』『楽しい』とか、『運がいいな、悪いなぁ』とか…。そういう気持ちの持ちようも全部、自分次第だと思うことが多くなりました。自分で気持ちのコントロールすることの大切さが分かった感じですね」 ――以前よりも、ポジティブ・シンキングができるようになったということでしょうか? 「そうですね。去年は『おむすび』もあったし、劇場版『トリリオンゲーム』の撮影もあって、M!LKのツアーも…と重なって、緊張が途切れることがなかった。そういうときに『トリリオンゲーム』で一緒だった目黒蓮(Snow Man)君と『大変さの共有』みたいなことをしました。『その状況、わかるよ、わかる』みたいな話をして…。アイドルも役者も両方やっていて、そこを共有できる人ってなかなかいないので、彼と話せたことはすごく大きかったです」 ――改めて『ESCAPE それは誘拐のはずだった』の見どころを教えてください 「まず、誘拐した側と誘拐された側が一緒に逃げるのは、どういう思惑があってのことなのか、その展開を楽しんでほしいですね。大介と結以は逃げながら自分の抱える問題に立ち向かっていくので、見る人も自分に置き換えて、『何か自分も逃げてないかな』と考えてもらえたら、うれしいです。ドラマを通してそういう困難に立ち向かう勇気も与えられたらいいなと思います」 撮影=大川晋児 取材・文=小田慶子 スタイリスト=伊藤省吾 ヘアメーク=望月光