なぜ「推しジャンル」を規制?活字の力を知るからこその……松平定信の出版統制【べらぼう】

江戸時代のポップカルチャーを牽引した天才プロデューサー・蔦屋重三郎の劇的な人生を、横浜流星主演で描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK)。10月5日の第38回「地本問屋仲間事之始」では、寛政の改革がついに出版部門にも及ぶことに。黄表紙大好きの定信が、なぜ自分の愛するジャンルの規制をするのか? という疑問に対する答えが、少しずつ見え始めた。 ■ 地本問屋たちが一致団結…第38回あらすじ 鶴屋喜右衛門(風間俊介)は、仲違いした重三郎と北尾政演(山東京伝/古川雄大)の話し合いの場を設ける。世にあらがうとか考えずふらふら生きたいという政演に対し、重三郎は自分だけ良ければそれでいいのかと責め立てた。話し合いが平行線になったところで、老中・松平定信(井上祐貴)が黄表紙や浮世絵の新作作りを禁じ、本の内容にも制限をかけるという、いわゆる「出版統制」の触れを出した・・・という知らせが届く。 重三郎と鶴屋は板元、戯作者、絵師などの出版関係者を集め、お触れのなかの「どうしても作りたい場合は指図を受けよ」という一文に目をつけ、山のように指図を願い出るという案を出す。さらに長谷川平蔵宣以(中村隼人)に、このままだと江戸文化の黄表紙が上方に取って代わられると定信に耳打ちさせた。これによって、地本問屋内で株仲間を作り、行事の差配に従って出版するという方向に、お触れを変えさせることに成功した。

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