「見栄えのいい経歴をチラシに入れたい」下心があった…経歴詐称疑惑を追及された市長の言い訳

政治家はなぜ、経歴を盛りたくなるのか。千葉県の鎌ケ谷市長を5期19年間務めた清水聖士さんが、市長の仕事を赤裸々に綴った『市長たじたじ日記』(三五館シンシャ)より、自身にかけられた経歴詐称疑惑の顛末を紹介する――。 ■市長になった日のこと 7月28日、この日が市長選の投開票日だ。 午後8時に投票が締め切られ、鎌ケ谷市民体育館で開票作業(※1)が行なわれる。私は妻と娘とともに、選挙事務所脇の控え室で開票結果を待つことになった。 もうできることは何もない。妻との会話もなく、自分が宙ぶらりんになった気分のまま、手持ち無沙汰に時間がすぎていく。 深夜0時を回ったころ、勢いよく支援者が控え室に駆け込んできた。 「清水さん、勝ったよ!」 開票所から電話が入り、選挙管理委員会の発表で私の当選が確定したという。 喜びよりも、落ちなくてよかったという安心が勝った。ほっとして全身から力が抜けていった。 「おめでとう。これで路頭に迷わなくて済んだね」 妻がにっこりと笑って握手を求めてきた。さっきまでウトウトしていた娘も事務所の喧騒に目を覚ましてあたりを見回している。 そのまま支援者に促され、みんなが待つ大部屋に行く。部屋に入ると支援者たちが大きな拍手で迎えてくれた。 用意されたクス玉を割る。紙吹雪が舞い散り、それを見た娘が嬉しそうにはしゃいだ。 結果は、私が1万2977票、最有力と見られた前市議会議員X氏は1万2214票。わずか763票差という大接戦だった。 私は41歳。千葉県内では最年少市長、全国でも6番目に若い市長となった。 ※1 開票作業……陣営が派遣した偵察班が開票所に行き、オペラグラスで集積台に積み上げられた投票用紙を数えて、逐一、携帯電話で選挙事務所に票数の連絡を入れてくる。支援者が時折、控え室に来ては票数がどう動いているかを知らせてくれた。

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