「女の子が望むままにやっちまった」…〝4000円援交〟の元官邸事務官〝いまだ反省の色なし〟

「(女子中学生に)毎回、お金などを渡すたびに、わいせつな行為を行っていたのではありません。車に3時間から4時間一緒にいて、お金だけを渡して帰ることも何回もありました。たぶん、そういうことから、どんどん罪の意識が薄れてきたのだと思います」 女子中学生2人に現金などを渡して性的暴行を加えた男は、最終陳述で女子中学生たちとの付き合いについて、このように説明したのだった。 「’24年12月9日、神奈川県警は、2人の女子中学生・Aさん(当時12歳)とBさん(当時13歳)にそれぞれ現金4000円などを渡して性的暴行を加えたとして、小泉幸博被告(当時40歳)を、不同意性交等の疑いで逮捕しました。小泉被告は横浜市内の公共施設の駐車場に車を止め、その車内で犯行に及んだということです。また犯行の一部を自らスマホで撮影していました。その後、検察は、小泉被告を不同意性交等と児童ポルノ禁止法違反の罪で起訴しています。 逮捕当時、小泉被告は首相官邸事務官として官邸の警備を担当していたことから、当時官房長官だった林芳正氏が『誠に遺憾だ。今後の捜査状況も踏まえ、内閣官房で厳正に対処していく』とコメントを出す事態になりました。その後、’25年3月28日に懲戒免職になっています」(全国紙社会部記者) 9月22日、横浜地裁で、小泉被告の第6回公判が開かれた。この日に行われた最終陳述で、小泉被告は冒頭のように述べ、「いろいろと社会制裁を受けておりますが、今後はしっかりと反省して、生きていきたいと思っております」と述べたのだった。 小泉被告は、問題とされている’24年5月17日に、Aさんと避妊をしないまま性行為に及んだことは認めているが、Aさんの保護者とは示談が成立している。Aさんの保護者は「許すことはできないが、刑事処罰は求めない」と述べたという。 一方、Bさんに対しては、不同意性交等に問われるような行為はなかったと主張し、一部否認。Bさん側とは示談が成立していない。 では、実際に小泉被告がBさんに行ったと主張する行為はどのようなものだったのか。9月4日に開かれた第5回公判で、小泉被告は弁護人の質問に答えるかたちで、5月17日のことについて次のような趣旨の証言を述べている。 ◆「やっていないと断言できます」 「もともとBちゃんとは、一緒に話をしたりお菓子を食べたりするという目的で会っていました。そのうち、お金などを渡すかわりにエッチなことをするようになったのです。 その日もやはりエッチなことをする約束で待ち合わせ場所に着き、車で待っているとBちゃんがAちゃんと一緒にやってきました。最初にAちゃんが後部座席に座り、10分ほどエッチなことをして、運転席に座っていたBちゃんと交代したのです。 私はBちゃんとキスをして身体を触りながら、右手にスマホを持って動画を撮影していたのですが、ふざけてBちゃんのことをからかったら怒ってしまったのです。そこでエッチなことを終了したので、不同意性交等に問われるようなことはやっていないと断言できます」 しかし、Bさんが怒って性的な行為を終了する場面は、動画には映っていなかったという。 代わって質問に立った検察官にも小泉被告は、「Bちゃんとの行為のなかで、これまでにキスをしたり身体を触ったのは正確に覚えていますが、不同意性交等に問われるような行為をしたことは記憶にありません」と、同じ趣旨の説明をした。 さらに検察官が質問を重ねても、やはり小泉被告の主張は変わることはなく、「Bちゃんが嘘をついてるとは思っていませんが、人間なんで、記憶の間違いはあるのかなと思います。もちろん私自身にも言えることですが」と述べた。 そして最後に検察官が「今回、なぜ、罪に問われているかわかりますか?」と質問すると、このように述べたのだった。 「判断力の低い年齢の児童に、わいせつな行為をすることが犯罪だとは、頭ではわかっていました。しかし、当時は罪の意識があまりなくて、(被害者の)今後の人生で何が起こるかということは考えていませんでした」 ◆「悩んでいたので助けたいと思った」 小泉被告のこういった主張に対して、検察はどのような見解を示すのか──。 第6回公判の論告弁論で検察官は、「本件犯行は被害児童の判断能力の未熟さにつけ込んだ卑劣で悪質な犯行」「自身の行為が許されない行為であることを理解しながら同種犯行を繰り返しており、規範意識が乏しい」などと指摘した上で、懲役7年を求刑したのだった。 一方、弁護人は、Bさんの証言について、「Bの記憶は極めてあいまいで、供述を信用できない。不同意性交等は成立しないと考えます」と主張した。 そして、「親族による長期にわたる監督が期待できるなど、再犯の可能性の解消につとめる環境が十分に用意されている」などとして、「本件については、被告人の人生において、最初で最後の執行猶予付き判決がなされるべきと思慮します」と述べた。 公判のなかで、「Bちゃんが、いろいろ人間関係で悩んでいたので助けてあげたいと思った」などと、被害児童とは友人関係に近かったと主張していた小泉被告。 だが、性的な行為に及んだのはBさんのほうから要望があったからだとも供述していた。最終陳述でも、「これは犯罪だなと思ったんですけど、Bちゃんが望むままにやっちまったということが、一番の原因でもあります」と述べていたのだ。 誘ってきたのは向こうで自分が悪いのではないと中学生に責任を転嫁する40代の男が、果たして社会のなかで更生できるのだろうか。 判決は10月29日に言い渡される予定だ。 取材・文:中平良

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする