警察官を装う特殊詐欺に関与したとして、警視庁は、中国籍の会社員銭凌容疑者（38）=東京都江東区=ら男女3人を組織犯罪処罰法違反（組織的詐欺）などの疑いで逮捕し、17日発表した。認否は明らかにしていない。同庁は、銭容疑者をトップとするグループがカンボジアに拠点を置き、昨年8月～今年1月に約50億円をだまし取ったとみて調べている。 特別捜査課によると、他に逮捕されたのは無職宮代祥平（31）=住居不定=と中国籍の職業不詳盧璐（36）=東京都中央区=の両容疑者。宮代容疑者は、うその電話をかける「かけ子」の管理役、盧容疑者は被害金を移動させる指示役、と同課はみている。 3人の逮捕容疑は2023年、全国の男女3人に「あなたの口座が不正利用され、犯罪の嫌疑がかけられている。調査のため現金を移す必要がある」などとうその電話をかけ、計約3500万円などをだまし取ったなどというもの。 盧容疑者は、この特殊詐欺の被害金のうち1千万円について、東京都港区の高級マンション購入の手付金の一部として不動産業者に振り込んで隠すなどした疑いもある。 ■手付金は約6千万 マンション価格は数億円か 捜査関係者によると、このマンションの価格は数億円とみられ、手付金は約6千万円だった。逮捕容疑の1千万円は、だまし取った金の入金から約3分後に業者の口座に振り込まれていた。このグループによる特殊詐欺の被害金がマンション購入に使われた事例は、他に確認されていないという。 このほかにも詐取金が真珠や高級外車「フェラーリ」の購入代金の一部に充てられた可能性があるといい、警視庁は、マネーロンダリング（資金洗浄）する目的があったとみている。 このグループをめぐっては、特殊詐欺に関与したなどとして、これまでに20人以上が逮捕されている。（三井新、西岡矩毅）