ベラルーシとジョージアで収監中の記者にサハロフ賞 欧州議会

欧州連合(EU)の欧州議会は22日、今年のサハロフ賞をいずれもジャーナリストで、ベラルーシ出身のアンジェイ・ポチョブト氏(52)とジョージア出身のムジア・アマグロベリ氏(50)に贈ると発表した。2人は政府批判をいとわず記者活動をしてきたが、現在は収監されている。 1988年に創設されたサハロフ賞は、人権や民主主義を守るために尽力した個人や団体に贈られる。昨年はベネズエラの反体制派活動家マリア・コリナ・マチャド氏に贈り、マチャド氏は今年のノーベル平和賞に選ばれた。この日発表したロベルタ・メツォラ欧州議会議長は授賞理由を「2人は自由と民主主義を求める戦いのシンボルになった」と説明した。 ポチョブト氏はベラルーシのポーランド系少数民族の家庭に生まれ、2006年からポーランド紙「ガゼタ・ビボルチャ」(選挙新聞)の記者として活動。「欧州最後の独裁者」とも呼ばれるベラルーシのルカシェンコ大統領の強権的な統治を批判し、当局による野党弾圧や人権侵害をSNSで発信してきたが、21年に「憎悪をあおった」などとして禁錮刑8年の有罪判決を受けた。刑務所での待遇が悪く、健康面に不安があるとも報じられている。 共同設立したオンラインメディアでディレクターを務めるアマグロベリ氏は、ロシア寄りの姿勢を強めるジョージアの与党「ジョージアの夢」政権に対し、腐敗や言論統制を批判してきた。今年1月、反政府デモに参加したとして逮捕され収監されている。ジョージアが1991年に独立して以来、初の女性の政治犯だといい、表現の自由を求めて抗議する姿はジョージアの民主化運動の象徴にもなっている。 授賞式は12月に仏ストラスブールで行われ、賞金5万ユーロ(約880万円)が贈られる。(ブリュッセル=牛尾梓)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする