誰もが 一度は見聞きしたことがある、事件や不祥事に関するニュース。しかし、逮捕された人の“その後”が報じられることは多くない。また、一度でも罪を犯した人間への社会の風当たりは強い。 山下さん(仮名・20代)は、上場企業に就職も、盗撮が発覚し懲戒解雇となった。在宅捜査を受ける中、被害者と示談が成立し、不起訴に。懲戒解雇を明かし職を探すも求人紹介はほぼゼロだったため、自ら応募して面接で事実を伝えるスタイルに変更した。 とはいえ、事件化も実名報道もされていない。山下さん自身「伝える義務はない」と認識していたが、「企業として、そういった人材を雇うリスクはかなり大きいと思う。すでに働いている社員の方々を守ることに対して、誠実に自己開示しなければいけないと思った」と語る。 面接官の反応はさまざまで、困惑した表情で少し固まってしまう人がいる一方、他の応募者と同じように扱ってくれる企業もあったという。今の会社でも、「雇ってくれた会社に誠実に向き合いたい」「“いつバレるか”という不安や恐怖にさらされたくない」と、社長や上司に盗撮の事実を伝えている。 ベリーベスト法律事務所の松井剛(こう)弁護士によると、「有罪判決を受けたら履歴書に『賞罰』として記載する必要がある。事実を伏せると“嘘をついた”とみなされ、のちに『経歴詐称』で解雇される可能性もある」という。一方で、そもそも「賞罰欄」がなく尋ねられてもいない、示談が成立するなどし不起訴になった、執行猶予期間が終了した、拘禁刑以上の刑の執行から10年経過した、罰金刑以下の刑の執行から5年経過したなどの場合、「記載する必要は一般的にないと考えられる場合もある」との見方を示した。