研究や教育を目的とした「寄付金」名目で医療機器メーカーから現金を受け取ったとして、東京大学医学部付属病院の医師が19日、収賄容疑で警視庁に逮捕された。1700人以上の医師を抱え、「日本の医学・医療をけん引してきた」とされる東大病院とは――。 地下鉄の本郷三丁目駅(東京都文京区)から徒歩約10分。東大病院は、東大本郷キャンパスの東に位置し、外来診療棟や入院棟のほか、研究棟などが立ち並ぶ。 文部科学省などによると、大学病院の役割は一般に主に三つ。 医師ら医療従事者の「教育」▽新しい治療法などの「研究」▽高度医療を提供したり、地域医療機関へ医師を供給したりする「診療」だ。 ■39の診療科 先端医療も提供 東大病院の公表資料によると、東大病院には、総合内科や一般外科、救急・集中治療科など39の診療科がある。臓器移植やがんゲノム医療、ロボット支援手術など先端的医療も提供している。 2025年4月1日現在、病床数は1218に上る。医師1718人、教員・研究員など58人、看護職1458人など、職員は計4373人。24年度の入院患者は延べ約32万8千人、外来患者は延べ約63万5千人、救急患者は約1万3千人だった。 過去には皇室の一部も、健康診断や検査入院、手術で同病院を利用している。 ■病院長「医療の最後のとりで」 来春のNHK連続テレビ小説のヒロインのモチーフになり、「明治のナイチンゲール」と称された大関和(ちか)(1858~1932)は、1889年ごろ、東大病院の前身である帝国大学医科大学付属第一医院で初代の外科看病婦取締(看護師長)に就いたという。 東大病院長は、同院について「150年を超える伝統に支えられ、日本の医学・医療をけん引してきた」とし、「医療危機が叫ばれる昨今では、医療の最後の砦(とりで)としての機能を期待されている」とするコメントを病院サイトに掲載している。(三井新、西岡矩毅)