密着!福島県警自動車警ら隊 躊躇ゼロの職務質問で犯罪の芽を未然に摘む 2025年発足の精鋭部隊

薬物、窃盗、凶悪事件…福島県でも日々発生するあらゆる犯罪行為。その数は年間で8000件を超えている(2024年・福島県)。2025年4月、福島県警察本部に新たに発足したのが『自動車警ら隊』。隊員数は44人で、職務質問の能力に長けた精鋭揃いだ。福島県内の治安を守るため、奔走する警察に密着した。 ■自動車警ら隊の職務 「機動力を生かした街頭活動、犯罪の予防。あとは卓越した職務質問技能を活かして、犯罪を検挙する。それが『自動車警ら隊』の業務」と話すのは、自動車警ら隊の本橋貴副隊長。 任務の重要性を改めて認識した事件があるという。それが2025年9月に東京都町田市のマンションで発生した殺人事件。 逮捕された男は「人を殺して人生を終わりにしようと思い、襲いやすそうな人を探した」と供述している。 本橋副隊長は「我々が先制的に警ら活動をすること。あるいは職務質問をすることで、例えば刃物を隠し持って徘徊している者、これから罪を犯そうと思って徘徊している者を、隊員が事前に職務質問で発見する・検挙する。凶器を押収できるということで、新たな犯罪を起こさせない、被害者を生まない、そういうところに直結すると思う」と語る。 ■躊躇ゼロを合言葉に 自動車警ら隊の藁谷警部補と田村巡査部長は、これまで数多くの現場を経験し職務質問の技能に定評がある2人だ。 『躊躇ゼロ』・・・不自然と感じればためらうことなく、話を聞く。犯罪の芽を摘む自動車警ら隊の合言葉だ。 ■パトロールに密着 福島県内全域、24時間体制でパトロールにあたる。午後9時を回ったJR郡山駅前で、一台の車が目にとまる。 藁谷由貴警部補は「あまり安全確認をしている素振りが無いというのが気になった。パトカーの存在を嫌がっているのか、何かしらの犯罪の可能性があるということで停止を求めた」と話す。 車に乗っていたのは外国人の男性2人。車内からただよう強烈なアルコールの臭いは、酒をまき散らしてしまったという。 2人は応援を要請。翻訳機を使い職務質問を続けると同時に、車のナンバーを照会。すると、ナンバープレートと車種が一致しない、いわゆる「テンプラ」=不正にナンバープレートを付け替える違法行為が判明。 ■未然に犯罪を防ぐ その後、福島県警察本部と警察署と連携し捜査を進めたところ、車は盗品であったことも判明した。 運転手の男の呼気からは、基準値を大きく上回るアルコールも検出された。 藁谷警部補は「万が一あの車が、そのまま運転を継続して重大な事故に至る可能性もある」と話す。 職務質問で犯罪を未然に防ぐ。そしてその姿を見せることで、犯罪を抑止する。それが治安の維持につながると信じている。 「我々に与えられている任務は、犯罪の検挙。検挙することでの未然防止。しっかり今後も職務質問を継続して、検挙につながるような活動をしていきたい」と藁谷警部補は語る。 ■メロディが流れるパトカー 福島県警察本部では『見せる』『知らせる』『聞かせる』の3つを掲げ、犯罪の抑止を目指している。「聞かせる抑止」として取り組んでいるのが、メロディを流してのパトロール。 事件・事故を未然に防ぐことを目的に目で分かる赤色灯に加え、聴覚に訴えるやさしいメロディ音を鳴らすことで、警察の存在を知らせている。警察はこうした新たな対策や日々のパトロールなどを通じて犯罪を未然に防ぐ取り組みを進めている。

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