闇バイト疑似体験ゲーム、警察と連携 異例の発表、奈良県警がコメント

闇バイト疑似体験ゲーム『レイの失踪』が奈良県警と連携し、「闇バイト対策特別授業」を実施することが決まった。 SNSや求人アプリなどで若者を勧誘し、強盗や特殊詐欺の実行役(受け子・出し子)として使い捨てる「闇バイト」が社会問題化していることを受けたもの。同ゲームを手がける株式会社Classroom Adventureは、奈良県警察本部および公益財団法人奈良県暴力団追放県民センターと連携し、12月4日に奈良県立大学附属高等学校(奈良市)で、全校生徒約490人を対象とした特別授業を実施すると発表した。 奈良県警の発表によれば、近年、特殊詐欺事件は急増傾向にある。令和6年中は、認知件数270件、被害総額約13億4340万円になった。前年と比べて被害件数は40件、被害額は約7.5億円増加している。また、闇バイト事件においては高校生がSNSを通じて犯罪組織に関与し、他県で高齢者から多額の現金を騙し取るなどの事件が発生している。これら「ごく普通の高校生」が、知識不足や一瞬の油断から犯罪加担者となってしまう現状を打破するため、奈良県警は、従来の講義形式にとどまらない、より実効性の高い教育手法の導入を検討してきたという。 特別授業では、『レイの失踪』を使ったワークショップや警察担当者からの講話を予定。深刻化する「匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)」による若者の勧誘手口を擬似体験することで、生徒の防犯意識と情報リテラシーの向上を図る。 闇バイトは早急な対策が求められるが、手口は日々変化している。最新情報は教科書に掲載されず、対策は学校や先生ごとの判断に任されがちで、準備や指導の負担が大きいのが実情。さらに、従来の座学だけでは生徒が危険を「自分ごと」として捉えにくい。 こうした状況を受け、Classroom Adventureは、闇バイトのリスクを具体的に学べるゲーム型教材『レイの失踪』を開発した。リアルに再現されたSNS空間を舞台に、失踪した友人「レイ」が闇バイトに勧誘され、抜け出せなくなる過程を疑似体験するプログラムとなっている。主に「狙われない」「騙されない」「ハマらない」の3点を学べる。 ■奈良県警察のコメント 奈良県内でも、「闇バイト」に応募して、特殊詐欺や強盗などの犯罪に手を染めてしまう人が後を絶ちません。 「闇バイト」が「良くないこと」なのは、誰もが知っています。しかし、その「恐ろしさ」は、必ずしも正しく理解されていません。「闇バイト」に加担すれば、犯罪組織にあなたの大切な「人生」を握られてしまいます。犯罪組織は、あなたを大切にはしてくれません。あなたが逮捕されることに対して、心を痛めることはありません。 また、あなたを縛り付けるため、組織を守るために、あなたを傷つけ、財産を奪うこと、あなたの家族や知人に危害を加えることをためらいません。 この「恐ろしさ」を効果的に学んでもらえる方法を模索する中で、「レイの失踪」に出会いました。「リアルな恐ろしさ」の疑似体験が、子ども・若者を犯罪から遠ざけ、安全で安心な奈良県の実現につながることを期待しています。 奈良県警察本部 犯罪抑止対策室長

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