東京都足立区で盗難車が暴走して11人が死傷した事故で、窃盗容疑で逮捕された男性(37)=足立区=が運転する車が、1人目の被害者となった横断歩道上の女性(28)をはねる直前に急加速していたとみられることが、捜査関係者への取材で判明した。赤信号を無視して交差点を直進する様子も確認されているといい、警視庁は自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の疑いでも調べている。 暴走した車は、交差点の横断歩道をわたっていた女性をはね、車道から歩道に侵入して100メートルほど走行。通行人をはねて再び車道に戻り、トラックに追突していた。暴走した距離は290メートルにわたる。 捜査関係者によると、事故現場が映った周囲のカメラ映像などを分析したところ、最初に女性をはねる直前、車の先端部が上がる「ノーズアップ」という現象が起きていた可能性が高いことが判明した。急加速した時に起きる現象といい、速度は時速70キロ近くまで出ていたとみられる。 事故時、車が直進した国道4号は赤信号で、横断歩道の歩行者側が青だった。横断歩道をわたっていた十数人のうち、逃げ切れなかったフィリピン国籍の女性がはねられ、別の車にぶつかる様子も確認されたという。【菅野蘭】