他人の証券口座に不正アクセスし乗っ取り、相場操縦疑い 中国籍の男2人逮捕

証券口座が乗っ取られ、株の不正取引が相次いだ問題で、警視庁などの合同捜査本部は28日、金融商品取引法違反(相場操縦)と不正アクセス禁止法違反の疑いで、いずれも中国籍で、会社経営のリン・シンハイ容疑者(38)=川崎市=と職業不詳のジャン・ロン容疑者(42)=東京都江東区=を逮捕した。捜査本部は認否を明らかにしていない。 2人は他人の証券口座を乗っ取るなどして不正な株の売買を行い、特定の株価をつり上げた上で売り抜け、約860万円の利益を得たとみられる。 乗っ取りによる不正取引は今年に入り急増しており、金融庁によると、1~10月で9348件、売買総額は約7110億円に上る。一連の問題が発覚して以降、容疑者の摘発は初。捜査本部は組織的な関与があるとみて全容解明を目指す。 逮捕容疑は共謀の上、3月、男女10人の証券口座にIDとパスワードを入力して不正アクセス。この口座とリン容疑者が経営する会社名義の口座を使って、特定企業の株を大量に買い付けるなどして株価を84円から110円に約3割つり上げた上で、約70万株を売り抜けたとしている。 警視庁などによると、2人は乗っ取った口座が保有していた株を売却するなどして得た資金約1億円を元手に、東証スタンダードに上場している特定の1企業の株を不正に売買。株価をつり上げた上で売り抜ける際は、乗っ取った口座とリン容疑者の会社名義の口座で同時に売買の注文を行う「なれあい売買」を行っていたという。乗っ取られた10口座は計約1100万円の損失を出した。 一部の被害者は偽サイトなどで認証情報を盗まれる「フィッシング」に遭った可能性があると話しているといい、合同捜査本部はIDやパスワードが流出した経緯も調べる。

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