コメ価格の高騰に乗じ、ベトナムから仕入れた外国産のコメ約8トンを日本産と偽って売ったなどとして、大阪府警は1日、ベトナム国籍で、輸入食品販売会社「Frechi(フレッチ)」のチャン・ティ・トゥ・フェン代表(37)と、食品販売業の日本国籍の夫(47)=いずれも大阪府東大阪市=を食糧法(米穀の出荷・販売事業の届け出)違反や詐欺の疑いで書類送検したと発表した。 2人は容疑を認めているという。 2人は10月、外国産のコメ約45トンを緑豆と偽って6月にベトナムから大阪市内に密輸入しようとしたとする関税法違反(無許可輸入未遂)などの疑いで逮捕、起訴されていた。 生活環境課によると、2人はベトナムにいる他の人物と共謀して4~9月、国内で年間20トン以上のコメを販売する際に必要な農林水産大臣への届け出をせず、コメ計約216トンを売った疑いがある。 また、このうち鑑定で外国産と判定された計約8トンについては3~9月、愛知県や兵庫県などで小売店を営む男女4人にSNSを通じて日本産と偽り、5キロあたり約3千円で売って計約498万円をだまし取った疑いがある。 農水省によると、昨年初頭に5キロあたり2千円ほどだった全国のスーパー(約1千店舗)のコメの平均価格は昨年夏ごろから上昇し、今年3~6月ごろには4千円台まで高騰した。その後一時3千円台に下がったが、9月に4千円台に戻った。 府警によると、フェン代表は調べに「価格がどんどん上がり、ベトナムで安く仕入れて日本で売れば利益が出ると考え、密輸を始めた」などと述べているという。 府警は、押収した輸入関係の書類や会社の伝票、2人の供述などから、2月以降、外国産のコメを関税がかからない緑豆と偽って大量に密輸していたとみている。 また、9月までに少なくとも30都府県の顧客に対して計約294トンを売り、計約1億3千万円を得ていたとみている。(小島弘之)