国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の赤根智子所長は1日、締約国の年次総会での演説で、ICCの職員に対する米国の制裁やロシアの逮捕状発効などに強く抗議した。「われわれはいかなる者からの圧力にも屈しない」との決意を表明した。 トランプ米政権は2月、ICCの関係者への制裁を可能にする大統領令に署名。2月から8月にかけて、戦争犯罪などの容疑でイスラエルのネタニヤフ首相らの逮捕状を請求したカーン主任検察官や裁判官6人ら計9人の職員を制裁対象に指定した。 赤根氏は演説で、米国の制裁対象となった職員や家族の生活が不安定になっていると指摘。対象になった職員は米国だけでなく欧州などの一部のICC締約国内でも金融取引が制限されていると懸念を示した。 さらに、赤根氏はロシアが11月、裁判官を含む職員ら9人に逮捕状を発行したと明らかにした。インタファクス通信によると、ロシアの捜査当局は11月14日、ICCが2023年3月にロシアのプーチン大統領らへの逮捕状を発行したことに関する捜査を終了したと発表。「無実と判明している人物の刑事責任追及」などを理由に、赤根氏を含む裁判官や元裁判官の計8人とカーン氏を欠席裁判で起訴し、指名手配したという。