2025年の佐賀のできごとをシリーズで振り返ります。初回の22日は「事件事故」です。航空機の事故や、住人が見ず知らずの外国人に襲われ殺されるなど衝撃的な事件が続きました。科学捜査、そして司法の根幹を揺るがす県警の不祥事も。 【リポーター】 「午前8時半前です。船で運ばれてきたヘリが今、港に引き揚げられます」 ブルーシートで覆われた機体。離島の患者を運んでいた医療搬送用ヘリです。 長崎県の対馬から福岡市に向かっていた機体は壱岐沖で不時着水し、医師ら3人が死亡しました。 運航していた佐賀市の航空会社「エス・ジー・シー佐賀航空」では家宅捜索や調査が行われ、これまでに機体後方の部品が破断していたことがわかっています。 「夜勤の仕事が終わっておらず、焦ってパニックになっていた」 佐賀市の老人ホームで80代の男性の腰などを踏みつけ死亡させたとして介護士の男が逮捕されました。 看護師と2人で夜勤をしていた男。 当時、ベッドからの転落を防ぐセンサーが何度も鳴っていたことがわかっています。 佐賀地裁は「守られるべき立場にあった被害者が守るべき立場の介護士から暴行を受け最終的に死に至った。 被害者と遺族が受けた精神的苦痛は計り知れない」などとして懲役9年の判決を言い渡しました。 【ニセ警察官】 「事情聴取ですが、音声と映像による方式で録画することで法的な効力をもつ。よろしいですか」 制服を着て警察手帳を示す男、まるで本物の警察官のように見えますが、実は偽者です。 警察官と信じた相手に、「あなたの口座が犯罪に使われている」などと持ちかけ、金をだまし取る詐欺。 こうした手口を含むニセ電話での県内の被害額は、今年の11月末までで、11億7000万円に上ります。 4月には県内の60代の女性が現金5億円以上をだまし取られる被害もありました。 県内有数の観光地では悲惨な事故もありました。 有田町の陶山神社の前にあるJR佐世保線の踏み切りで、台湾から観光に訪れていた女性が列車と衝突し死亡しました。 踏切には遮断機がなく周辺には注意を呼びかける看板も。 女性は線路内で写真を撮影中に後ろから来た列車と衝突したとみられています。 【李被告の夫】 「妻が人を刺した。逮捕していると警察から聞いた。本当に申し訳ないという気持ちしかない」 佐賀市の児童福祉施設で職員の50代の女性が施設を訪れていた女に包丁で胸などを複数回刺され殺害されました。 逮捕されたのは中国国籍の女。 施設に入所していた娘に会いに来ていました。 事件の前には児童相談所で「子供を返せ」と叫んで暴れていたこともわかっています。 約4カ月間の鑑定留置を終え殺人などの罪で起訴されました。 【近隣住民】 「母親がブルブル震えて私が代わりに死んだ方がよかったと言って話ばしたて」 伊万里市の住宅に押し入った男が親子を刃物で脅し現金を奪ったうえ40歳の娘の首を刺して殺害し逃走しました。 【近隣住民】 「あれ誰って言ったらみんなが見てそしたらバーっと逃げたけんね。そがん言いよる間に。本当によう似とるなって下に何人かおるやろそいけん日本人やなかて言うた警察にも」 その翌日…インターホンの画像などから特定、逮捕されたのはベトナム国籍の技能実習生の男。 犯行現場から徒歩圏内の寮に住んでいました。 「何も話したくありません」と供述していた男は8月強盗殺人の罪で起訴されました。 なぜ犯行に及んだのか―今後の公判ではその動機が注目されます。 【県警察本部 福田英之本部長】 「県警察に対する県民の信頼、警察活動に対する信頼を大きく損なう事案であり、重く受けとめるとともに県警察の責任者として深くおわび申し上げます」 司法の根幹を揺るがす不正が明らかになりました。 DNA鑑定をしていないのに結果を偽装したなどとして、県警は科学捜査研究所の40代の男性職員を懲戒免職処分とし書類送検したと発表しました。 鑑定の不正は7年間続き、鑑定後の資料を紛失したり日付を書き換えたりするなど130件が確認されました。 その理由は…「上司に対して自分の仕事ぶりをよく見せるため。仕事が遅いと指摘されるのを避けるため」 「公判に影響はない」とする警察に対し、内部調査で終わらせず、第三者による調査を求める声が高まる中 【県警察本部 福田英之本部長】 「県警察としても本事案を受けて、ご指摘のあったような第三者委員会といったものの設置についてその必要があるとは考えていないところであります」 県議会では第三者による調査などを求める決議案が全会一致で可決されました。 【吉冨アナウンサー】 「午前9時半ごろの県警察本部です。警察庁の首席監察官らが今、県警本部へ入っていきます。これから特別監察が始まります」 こうした中、現在行われているのが警察庁による特別監察。 記録上確認できる2012年以降、全国で5回目です。 DNA鑑定の実施体制や不正の原因などを調べるもので11月、警察庁は中間報告を公表。犯罪捜査を目的とした101件について捜査に影響はなかったとしています。 一方、県内では裁判で弁護士が鑑定結果を証拠として使用することを認めない「不同意」とするケースも。 信頼回復に向け徹底した調査と十分な情報開示が求められています。