佐野勇斗、“愛されキャラ”で際立つ存在感 「トリリオンゲーム」「ESCAPE」などの出演作から俳優としての魅力を紐解く

5人組ボーカルダンスユニット・M!LK(ミルク)のメンバーであり、俳優としても存在感を放つ佐野勇斗。最近は、ドラマ「ESCAPE それは誘拐のはずだった」(日本テレビ系)で桜田ひよりとW主演を務めたり、M!LKとして「第76回NHK紅白歌合戦」への初出場が決定したりと、目覚ましい活躍を見せている。本記事では、そんな佐野の俳優としての魅力について、これまでの経歴や出演作を振り返りながら紐解いていく。 ■“暗黒期”を乗り越え…佐野勇斗の快進撃 “若手俳優の登竜門”とも言われる「第25回 ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」をきっかけに芸能界へと飛び込んだ佐野。しかし想像していたよりも厳しい世界に、“全然追いつけない”と挫折してしまう。この挫折期間について佐野は“暗黒期”と表現しているが、彼は決して腐らず前に進むことを選んだ。 そんな彼の転機となったのは、2015年公開の映画「くちびるに歌を」。本作は、佐野にとって初めての仕事となったが、作中では合唱部員の一人・向井ケイスケをみずみずしく演じ、若手俳優として少しずつ頭角を現すようになる。 その後映画「ちはやふる-結び-」(2018年公開)での演技が評価され、「第28回日本映画批評家大賞」で新人男優賞を受賞。さらに、NHK連続テレビ小説「おむすび」への出演によって幅広い世代の視聴者に認知され、映画やドラマなどさまざまな場で活躍するように。 そんな佐野は、俳優以外にも2014年に結成したM!LKのメンバーとしても活動している。シングル「コーヒーが飲めません」でCDデビューを果たしたM!LKは、メジャー2ndアルバム『M!X』のリード曲「イイじゃん」が大ヒット。SNS総再生回数は25億回を突破するなど話題を呼んだ。そして、以前佐野がメディアのインタビューで語っていた「ゆくゆくは『NHK紅白歌合戦』に出られるようがんばります!!」という目標も叶え、12月31日(水)に放送される「第76回NHK紅白歌合戦」に初出場することが決定している。 結成10周年を迎え、名実ともに存在感を放つアーティストへと成長したM!LKについて、佐野は「M!LKは兄弟とか家族のような存在。この場所がなかったら、僕は暗黒期にどんどん自信をなくしてつぶれていたかもしれない」とメディアインタビューで語っており、M!LKとしての活動が彼の原動力になっていることが伺える。 ■“愛されキャラ”で視聴者を惹きつける存在感 そんな佐野の俳優としての魅力は、端正なビジュアルや、M!LKとしての活動で培われた親しみやすさを土台に、多彩なキャラクターを自在に表現できる点にある。いわゆる“愛されキャラ”を自身の強みに昇華し、作品ごとに異なる顔を見せてきた。 累計発行部数180万部を超える同名コミックを原作としたドラマ「トリリオンゲーム」(TBS系、2023年放送)は、その代表例だ。本作は、世界一のワガママ男・ハル(目黒蓮)と、気弱なパソコンオタク・ガク(佐野)がタッグを組み、ハッタリと奇策を武器に“1兆ドル(トリリオンダラー)”を目指すノンストップ・エンターテインメント。 佐野が演じたガクは、コミュニケーション能力に難はあるものの、ずば抜けたITスキルを誇る天才肌。破天荒なハルとは対照的に、物語のバランスを保つ“常識人”として、狂言回し的な役割を担っている。佐野自身が持つ柔らかな雰囲気と親近感が重なることで、ガクの不器用さや純粋さがよりチャーミングに映り、視聴者の共感を自然と集めていた。 また、鈴木伸之(劇団EXILE)とダブル主演を務めたコメディドラマ「俺たちはあぶなくない ~クールにさぼる刑事たち」(TBS系、2020年放送)では、異なるタイプの“愛され像”を提示した。“コスパが悪いから危ない橋は渡らない”という価値観を持つ若手刑事たちを描いた本作で、佐野が演じたのは、警察組織の古い体質に嫌気が差し、転職を視野に入れながら働く刑事・世中渡。 捜査の中心には極力関わらず、“捜査している風”で要領よく立ち回る姿は、まさに“令和の刑事”。一見後ろ向きにも思えるキャラクターだが、佐野のスタイリッシュな佇まいや知的な表情、時折見せる鋭い推理力によって、どこか憎めない“妙にカッコいい”刑事像が成立していた。初の刑事役ながらも、ここでも自身のキャラクター性を的確に活かしている。 ■出演作でインパクトを残す確かな演技力 佐野が若手俳優として注目を集め始めた作品の一つが、「トドメの接吻」(日本テレビ系、2018年放送)だ。本作は金と権力を求めるホスト・堂島旺太郎(山崎賢人)が、“キスで殺す女”(門脇麦)によってタイムリープを繰り返すという異色のラブストーリーだが、その中で佐野は重要なポジションを担った。 彼が演じたのは、社長令嬢・並樹美尊(新木優子)に想いを寄せるクルーズ会社の御曹司・長谷部寛之。いわゆる“世間知らずのおぼっちゃま”でありながら、旺太郎に対しては露骨にライバル心を見せる役どころだ。序盤の愛嬌ある佇まいから、物語が進むにつれて変化していく心情を丁寧に表現し、キャラクターの成長をしっかりと印象付けた。当時SNS上では「佐野キュン」と呼ばれるほどの支持を集めたことからも、その存在感の大きさが伺える。 そして12月10日に最終回を迎えたドラマ「ESCAPE それは誘拐のはずだった」では、佐野にとって民放キー局のゴールデン・プライム帯ドラマ初主演という節目を迎えた。大手製薬会社の一人娘・八神結以(桜田ひより)を誘拐する逃亡劇を描く本作で、佐野は誘拐犯グループの一人・林田大介を熱演。 攻撃的な言動の裏に、嘘のつけない不器用な優しさを秘めた林田は、過去に逮捕歴を持つ人物だ。そんな林田が結以と行動を共にする中で少しずつ変化していく心の機微を、佐野は過剰にならず自然体で演じ切っている。 また、桜田との息の合った掛け合いも見どころの一つ。時にアドリブを交えた軽妙なやり取りからは、佐野の役者としての余裕や確かな成長が感じられ、物語にリアリティと温度を与えていた。 M!LKとしての活動で培った親しみやすさを武器にしながら、着実に表現の幅を広げてきた佐野。役ごとに異なる表情を見せつつも、どこか“愛される”空気をまとえるのは、彼ならではの強みだろう。今後もそのキャラクター性と確かな演技力で、さらなる活躍に期待したい。 なお動画配信サービス・Huluでは、佐野が出演する「トリリオンゲーム」「俺たちはあぶなくない ~クールにさぼる刑事たち」「トドメの接吻」「ESCAPE それは誘拐のはずだった」などの作品を見放題配信中。 ※「山崎賢人」の崎は、正しくはたつさき

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