中四国最大の歓楽街、広島市中区の流川・薬研堀地区で、広島県警が違法風俗の取り締まりを強めている。ソープランドに絡み、今年は10月までに売春防止法違反容疑で前年同期の3倍の6件を摘発。禁止行為の客引きについてもグループの実態解明に注力する。暴力団の資金源とされる歓楽街。指定暴力団共政会(本拠・広島市南区)の勢力拡大の動きもあり、金の流れを封じたい考えだ。 「警察です。捜索しに来た」。10月下旬の午前10時過ぎ、薬研堀地区で営業中のソープランドに捜査員約30人が踏み込んだ。捜索差押許可状を示す。パソコン画面上には今まさに女性従業員5人が接客していることを示すデータがあった。 捜査員は個室に入り、売春行為を現認。突然の捜索に困惑する女性従業員に対し「本番行為をやったらいけん。ただのお風呂屋さんなんで」などと説明した。 県警は昨年11月に情報を入手し、内偵捜査を進めていた。この日、60人態勢で店や関係先を捜索し、避妊具や従業員名簿などを押収。店の代表ら男5人を売春防止法違反(場所提供)容疑で逮捕し、その後に店の実質的経営者も同法違反(業としての場所提供)容疑で逮捕した。代表と経営者は起訴された。 県警は今年に入り別のソープランドでも、同様に売春すると知りながら業として店内の個室を提供したなどとして同法違反容疑で計5件を摘発した。県警はいずれも共政会など組織的な犯罪グループに資金が流れている可能性があるとみる。 流川・薬研堀地区を管轄する広島中央署は「歓楽街の浄化で資金源を断ち、暴力団や匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ)の勢力減退につなげたい」としている。