NHK党・立花孝志被告が移送された神戸拘置所は「冷蔵庫」 元収容者は「拷問のような寒さだった」

元兵庫県議に対する名誉毀損で起訴された「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志被告が、12月24日に兵庫県警の留置施設から神戸拘置所(神戸市北区)に移送されたことがわかった。この拘置所は、かつて収容中の被告が凍死したこともあり、その界隈では「冬の厳しい寒さ」で知られる施設だ。 * * * 「まあ、えらい時期に移送されたわな。地獄を見るんじゃないですか」 数年前の冬、神戸拘置所に数カ月収容されたことがあるAさんは、立花被告の移送について、そう話した。 刑事被告人や死刑囚が収容される拘置所の中で、神戸拘置所は全国8カ所の本所の1つ。神戸市の山間部にあり、周囲には閑静な住宅街が広がっている。記者は数十回、神戸拘置所を訪れたことがあるが、かなり標高が高い場所にあって、道すがら神戸港を一望する絶景も味わえる。素晴らしい環境のように思えるが、現実はまったく逆だ。 Aさんは、これまで全国10カ所ほどの拘置所や刑務所に収容された経験がある。最も古い施設だったのが、1908(明治41)年に建てられた奈良少年刑務所。前身は「奈良監獄」と呼ばれた施設で、建築家の山下啓次郎氏(ジャズピアニスト山下洋輔氏の祖父)が設計した。和洋折衷のモダンな造りで、2017年に閉鎖されると建物が重要文化財に指定された。26年春にミュージアムとして活用されることも決まっている。 一方、神戸拘置所は1978(昭和53年)に現在の場所に移った。比較的、施設は充実しているとされる。だが、この2つの施設を比較して、Aさんはこう振り返る。 「奈良少年刑務所に移送されると聞いて、ヤバイところだと思って覚悟しました。コンクリートの3畳ほどの独房に入れられたときは、冬は大変だと思いました。それが、冬になっても、意外と寒くないんですよ。明治の建物なので、窓からすきま風は入ってきますが、風がほとんどない。それに比べて、山の中にある神戸は風が強く、気温も低いので、布団が冷たくてどうしようもない。冬場は午後5時くらいから布団に入ることを許可されましたが、体温で布団が暖かくなって眠りにつけるのは夜の9時、10時だった」 拘置所ならではの厳しいチェックもあった。 「寒いので、頭から布団をかぶろうとするじゃないですか。すると即座に刑務官から、『こら、頭、出しとけ』と叱責を受けます。これは自殺防止の観点から、どこの拘置所、刑務所でも同じルールです。私は北陸の刑務所でも受刑しましたが、頭から布団に飛び込みたいと心底思ったのは、神戸だけ。それほど神戸の寒さはつらかった」 神戸拘置所では2006年に収容中の男性被告(当時29)が死亡し、遺族の訴えを受けた神戸地裁は判決で、死因が凍死だったと認定している。亡くなった男性は、日記に「寒さで体が動かない」などと書き残し、死亡前日には医師から「指の一部が凍傷化」と診断されていた。

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