警察庁は29日、警察官を装って現金をだまし取る「ニセ警察詐欺」に関与したとして、マレーシアの拠点のリーダー格とされる台湾人ら10人が台湾当局などとの国際共同捜査で逮捕されたと発表した。生成AI(人工知能)のチャットGPTでだますシナリオを生成。画像のディープフェイク技術を使って警察官になりすまし、LINEのビデオ通話を使って日本に連絡していたとみられる。 東南アジアを拠点とする国際的な匿名・流動型犯罪グループ(トクリュウ=匿流)による詐欺被害が目立っており、警察庁は台湾やマレーシアの警察当局と連携を強化して組織の実態解明を進める。 台湾当局の発表によると、2025年8月、首都クアラルンプールの詐欺拠点を捜索し、台湾籍の5人と日本国籍の4人、マレーシア国籍の1人の計10人の身柄を拘束した。台湾人の5人は同10月に台湾に送還され、うち4人が詐欺罪などで起訴された。 警察庁や台湾当局によると、拠点は25年6月から使用され、捜索では、パソコン4台や携帯電話26台のほか、日本警察の制服一式やバッジ2個も押収された。 拠点は台湾籍の容疑者が指揮し、グループはチャットGPTを使い、「携帯電話の料金が未払いになっている。警察の調査を受ける必要がある」といったシナリオを作っていたという。 通話の際は警察の制服と偽の警察手帳を使い、ディープフェイク技術を利用して偽の警察官の映像を生成。被害者との通話中はその警察官に「口パク」をさせ、実際の会話は日本人の容疑者が担当し、日本語訳されたシナリオを使っていた。背景には日本の国旗を貼り、警察庁舎から通話していると装っていたという。 この拠点での日本国内の被害者は8人が確認され、少なくとも計1865万円がだまし取られたという。台湾籍の容疑者たちはオンラインゲームで知り合い、「かけ子」役の日本人はフェイスブックで応募していた。 日本人の容疑者は20~30代の男性4人。25年10月に日本に送還され、大阪府警に詐欺容疑で逮捕された。 警察庁によると、25年のニセ警察詐欺を含むオレオレ詐欺の被害額は、11月末現在で前年同期比2・7倍の956億円と急増している。【深津誠、台北・林哲平】