「これ、特殊詐欺ですよね」黙り込む「秋田県警警察官」かたる男 新聞記者の電話にかかったやりとり一部始終

偽警察官による特殊詐欺被害が後を絶たない。滋賀県草津市では2025年11月、40代男性が秋田県警の警察官や検事をかたる男らに1億8千万円分の暗号資産をだまし取られた。同じころ、京都新聞社の記者にも、秋田県警を装う男らから同様の電話があった。オンラインで「事情聴取」と称した誘導が始まり、いつしか記者はマネーロンダリング(資金洗浄)事件の容疑者にされ、多額の送金を迫られた。法律用語を使い、巧みな話術で誤信させる詐欺集団の手口を追った。 ◆「+」で始まる番号から着信◆ 11月14日午後3時ごろ。記者の携帯電話に「+」で始まる国際電話から着信があった。自動音声で「利用規定違反」と告げられ、問い合わせ番号を押すと「NTTドコモ」のカスタマーセンターをかたる男が「あなたの携帯電話から大量の迷惑メールが送信されている」として警察に被害届を出すよう指示された。 そのまま通話相手は秋田県警捜査2課の「ウエムラ」を名乗る男に替わった。親切な口調で「電話で被害届を受理できる」と話した。警察は本来、対面でないと被害届を受理しないが、裁判所への証拠提出を理由に「第三者の音声が入ると無効になる」などと話を進めた。「だまされたふり」をし、LINE(ライン)の連絡先を交換すると、男らとビデオ通話が始まった。 LINE(ライン)のビデオ通話で、ウエムラは顔写真入りの警察手帳のようなものを示した。続いて、特別捜査本部の許可なく第三者に漏洩(ろうえい)しない、と記された「守秘義務誓約書」の画像が送られてきた。「違反した場合、公務執行妨害に該当する」との内容を読み上げさせられた。 途中から記者は特殊詐欺事件の「重要参考人」にすり替わっていた。最近、銀行口座を開設したかと問われ、否定しても「大阪府警が特殊詐欺グループを検挙した際、あなた名義のキャッシュカードと通帳が出てきた」「被害者は約20人、被害額は約5千万円」と迫られた。「他人に話をしないで」と口止めされ、解放された。通話時間は90分を過ぎていた。しかし、やり取りはその後も続いた。

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