「怪物ヒドラのように頭を切れば…」麻薬王射殺後にメキシコを襲った混乱

メキシコ政府が麻薬王除去作戦で触発された混乱の収拾に総力を挙げている。6月に米国・カナダとともにサッカー・ワールドカップ(W杯)の北中米大会を共同開催するだけに、国際社会の懸念を払拭させることが必要だからだ。 メキシコのシェインバウム大統領は24日の定例会見で「W杯の試合を行えるよう完全な安全を保障する。試合を観戦するために訪問するサッカーファンには何の危険もない」と話した。メキシコ国内のW杯開催都市はメキシコシティ、グアダラハラ、モンテレイの3カ所だ。韓国代表チームはグループリーグ1・2次戦を行うグアダラハラにベースキャンプを設ける予定だ。 メキシコ政府は22日、ハリスコ州タパルパで最大の麻薬組織ハリスコ新世代カルテル(CJNG)のリーダー「エル・メンチョ」ことネメシオ・オセゲラ容疑者の除去作戦を展開した。銃撃戦の末にオセゲラ容疑者が射殺され作戦は成功裏に終えられたが、カルテルの報復攻撃によりメキシコは現在ハリスコ州など一部地域で治安が不安定な状況だ。オセゲラ容疑者の死による混乱に乗じて勢力拡大を狙うカルテル同士の衝突も広がっている。一部で「W杯開催場所が変更されるかもしれない」との主張まで出てくると政府次元で懸念を払拭させるための対応に出た形だ。 ハリスコ州のレムス知事もこの日「グアダラハラがW杯開催権を失う危険に直面したという一部メディアの報道は完全に間違い」と話した。前日国際サッカー連盟(FIFA)に対応策を伝えた事実を明らかにし、「グアダラハラに対する(開催地変更)警告信号がない点を再確認した。メキシコが確保した3カ所の開催地のうちどれかひとつも失う危険はない」と付け加えた。 メキシコ政府はカルテルの武力示威を防ぐため数千人の兵力を配備した状況だ。メキシコのハルフチ治安相は23日、「指揮センターを通じて状況を綿密にモニタリングしている。軍がカルテル各武装部隊のリーダーを逮捕すれば大規模暴力事態の危険は緩和されるだろう」と明らかにした。 政府の対応を受け一部地域はこの日から安定を取り戻している。ロイター通信は「23日にグアダラハラにある工場稼動を中断したホンダが1日ぶりに生産を再開した」と報道した。フィナンシャル・タイムズも「ハリスコ州内の学校が25日に授業を再開する予定。大多数の現地企業もこの日から運営を再開する方針」と伝えた。 だが緊張は緩められないとの評価が出ている。ニューヨーク・タイムズはこの日、「メキシコ国民は過去何回も体験した『暴力がさらに大きな暴力を呼ぶ悪循環』に備えている。神話の怪物ヒドラのようにカルテルの頭を切ればさらに多くの頭が生じる」と伝えた。その上で「トランプ米大統領の圧力でメキシコはカルテルに対抗したがその代償は大きいかもしれない」と警告した。

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