アメリカの性犯罪者で資産家のジェフリー・エプスティーン元被告(故人)に関係した調査を進めている連邦議会下院委員会の民主党トップは26日、ドナルド・トランプ大統領が性虐待をしたとする未成年者の訴えが含まれている資料を、司法省が隠していると非難した。 未成年者に売春を勧めた罪で有罪とされ、その後に性的人身取引の罪で起訴され収容されていた拘置所で死亡したエプスティーン元被告をめぐっては、司法省が1月に数百万点の資料を公開した。トランプ氏が成立させた法律に基づいて、連邦当局の捜査資料が段階的に公開されたが、同氏は以前、公開に抵抗していた。 公開された資料の一部は編集されており、当局者らは、公開されていない資料があることを認めている。法律では、進行中の捜査や起訴の妨げになることを防ぎ、被害者のプライバシーを守るため、特定の資料を司法省が非公開にすることが認められている。 こうしたなか、下院監視委の民主党トップのロバート・ガルシア委員は26日、トランプ氏に関する訴えが記された文書を目にしたとし、それが公開されていないと記者団に話した。ガルシア氏は下院議員として、司法省が公開した資料の未編集版を閲覧する法的権限をもっている。 ガルシア氏は、「私たちは司法省のファイルとアーカイブの目録を見ている。特定のサバイバーに関する聴取記録と情報が司法省のファイルから削除され欠落していることが明らかだ」と主張。「これらのファイルはどこにあるのか? 誰が削除したのか? そうした疑問への答えが必要だ」と述べた。 ガルシア氏はまた、民主党議員らが今後、未公開のファイルの公開を求めていくと述べた。 トランプ氏は、エプスティーン元被告の事件に関連した不正行為は一切していないと繰り返し主張している。最近は「完全に潔白が証明された」と述べている。 元被告とトランプ氏は、1980年代後半から友人関係にあったとされる。約10年間にわたって、さまざまなイベントで一緒に撮影された写真が残されている。トランプ氏は2002年の米誌ニューヨーク・マガジンのインタビューで、元被告を「素晴らしい男」だと評し、「私と同じくらい美しい女性が好きだと言われており、その多くは若い女性だ」と述べていた。 トランプ氏は、元被告が最初に逮捕される2年前の2000年代初めに、元被告と仲たがいしたとしている。 元被告の関連資料にトランプ氏の名前が記載されていることは、不正行為があったことを意味するものではない。 ■事情聴取3 件の記録が欠如と 米メディアはここ数日、エプスティーン元被告関連の公開資料に関して、被害者とされる女性に対する連邦捜査局(FBI)の事情聴取3 件の記録が欠けていると報じている。 最初に報じた公共ラジオ局NPRによると、ファイル内の索引とシリアル番号から、FBIが2019年に、この女性の事情聴取を4回実施したことがわかる。この聴取は、元被告の共犯者ギレイン・マックスウェル受刑者の捜査の一環として行われた。同受刑者は2022年に性的人身取引の罪で禁錮20年の刑が言い渡され、現在服役中。 それらの聴取の3回分に関する要約や関連メモなど計50ページ以上の文書が、司法省のウェブサイトで公開されていないという。これについてはNPRのほか、米紙ニューヨーク・タイムズなども報じている。 当該文書は大幅に編集されており、その一つでは、この女性が連邦捜査官に対し、1980年代初めに未成年だった自分を元被告がレイプしたと話したとされる。 さらに他の記録では、同じ女性とみられる人物が、1983〜1985年の間にトランプ氏から性的虐待を受けたと訴えている。当時、この女性は13〜15歳だった。ガルシア氏はこの女性について、元被告にレイプされたと訴えた女性と同一人物だと、未編集の資料で確認したとしている。 トランプ氏に性的虐待されたとの主張は、元被告関連の別の公開資料でもみられる。FBIが「全国脅威対策センター」への通報からトランプ氏に対する告発をまとめたリストに含まれている。 その資料に記載された多くの通報は、捜査官らによって信憑性(しんぴょうせい)がないと判断されたもようで、通報内容を裏付ける証拠も示されていない。ただし、FBIはこの訴えをフォローすべきものとして分類し、首都ワシントンの支局に「聴取を実施する」よう指示した。 下院監視委のガルシア氏は、パム・ボンディ司法長官あての書簡で、公開資料からは「FBIがこれらの訴えを真剣に受け止めていたことがわかる」と主張。トランプ政権がこの証人に関連する事情聴取の記録を非公開にすることで、「隠蔽(いんぺい)」を行っていると非難した。 ■司法省は「削除は一切ない」 トランプ氏関連の資料が非公開となっているとの指摘を受け、司法省は26日、「削除されたものは一切ない」とする声明を発表。「重複、特権、または進行中の連邦捜査の一部」に当たる文書のみ非公開にしているたと付け加えた。 一方で、不適切に非公開とされている資料の有無を検証すると述べた。 同省はこれまで、資料の一部には「トランプ大統領に対する虚偽の扇情的な主張」が含まれていると説明している。 同省は25日、BBCの取材に対し、1月の資料公開時の声明を引用して回答。「資料の一部には、2020年の選挙直前にFBIに提出された、トランプ大統領に対する虚偽の扇情的な主張が含まれている」とした。 そして、「明確にしておくが、それらの主張は根拠がなく虚偽だ。もし少しでも信憑性があれば、トランプ大統領に対する攻撃材料としてとっくに利用されていたはずだ」とした。 下院監視委の委員長を務めるジェイムズ・コーマー下院議員(共和党、ケンタッキー州選出)は26日、司法省がトランプ氏に関連する文書を隠しているとの疑惑について、議員らが引き続き調査中だと説明。「その件についてはまだ、決定的な答えを得ようとしている段階だ」と述べた。 一方、民主党の委員らは25日、「これは現代史最大の政府による隠蔽だ。私たちは答えを求めている」とする声明を出した。 (英語記事 US justice department accused of withholding Trump-related Epstein files)