大相撲の伊勢ケ浜親方(元横綱・照ノ富士)が弟子の幕内・伯乃富士(22)に暴力を振るい、日本相撲協会から事情聴取を受けていたことが27日、明らかになった。伊勢ケ浜親方は大阪市内で報道陣の取材に応じ、協会には自ら報告したと説明。「責任のない行動を取ってしまった」と謝罪した。今後はコンプライアンス委員会が調査を進め、春場所(3月8日初日・エディオンアリーナ大阪)後の理事会で協議される。 日本相撲協会は近年、不祥事に対する処分を決める上で、隠蔽(いんぺい)や虚偽の報告に厳罰を科してきた。例えば20~21年頃に複数あったコロナ禍でのガイドライン違反。不要不急の外出に対し、阿炎や竜電は「出場停止3場所」だったが、協会の調査に当初一貫して否定した朝乃山は1年に及ぶ「出場停止6場所」処分となった。当時の協会幹部は「虚偽の報告をした。これは一番いけないこと」と指摘していた。 2年前には元横綱・白鵬の宮城野親方が弟子の北青鵬の暴力行為に対する監督責任などで委員から年寄への2階級降格となり、弟子らと伊勢ケ浜部屋の預かりとなった。暴行の事実を把握しながら協会への報告義務を怠ったことも大きく問題視されての処分だった。 伊勢ケ浜親方は協会に自ら隠さず報告した点は、処分内容に考慮されそうだ。一方で師匠による弟子への暴力行為は近年では例がない。協会がどんな判断を下すのか、注目される。 ◆大相撲の主な暴行事案 ▽06年7月 幕内・露鵬が男性カメラマンに暴行して3日間の出場停止。 ▽07年6月 当時17歳の序ノ口力士が師匠・時津風親方(元小結・双津竜)や兄弟子3人から暴行を受けて死亡。4人は傷害致死容疑で逮捕され、協会を解雇。 ▽10年1月 横綱・朝青龍が優勝した初場所中に泥酔して知人男性を暴行した問題で、現役引退。 ▽17年10月 鳥取市内で幕内・貴ノ岩が横綱・日馬富士に頭部などを殴られ負傷し2場所連続休場。日馬富士は現役引退。 ▽18年3月 十両・貴公俊が春場所中の支度部屋で付け人に暴行。場所を休場して1場所の出場停止処分。 ▽22年12月 伊勢ケ浜部屋で幕下以下の力士2人がちゃんこをかけるなどの暴力があったと被害者親族の電話相談により判明。加害者の1人は引退し、報告を怠った師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱・旭富士)は協会の役職を2階級降格。 ▽23年5月 幕下以下の力士1人が22年末から昨年1月にかけ、兄弟子に顔面などへ暴力を繰り返し受けたことが発覚。力士は引退し、師匠の陸奥親方(元大関・霧島)は事業部長を辞任。 ▽24年2月 宮城野部屋の幕内・北青鵬が、同部屋の2力士に対し、顔面、背中及び睾丸(こうがん)への平手打ち。財布に瞬間接着剤を塗布し、損壊。殺虫剤スプレーに点火してバーナー状にした炎を体へ近付けるなどの行為を日常的に繰り返されてきたことが発覚。北青鵬は引退。監督責任などで、師匠(元横綱・白鵬)を委員から年寄への2階級降格と、3か月の20%報酬減額処分。部屋は一門の伊勢ケ浜部屋への預かりとなった。