佐賀県警科学捜査研究所の元職員(懲戒免職)によるDNA型鑑定不正をめぐり、県弁護士会の出口聡一郎会長は、所属弁護士が再審請求を検討している覚醒剤取締法違反事件の鑑定者の一人が元職員だったと明らかにした。元職員が在宅起訴されて氏名が明らかになったため分かったという。 再審請求が検討されているのは、覚醒剤取締法違反の所持と使用の罪で福岡高裁の有罪判決が確定した事件。男性は2017年11月に逮捕され、覚醒剤の所持を否認したが、薬物のパケットに付着した微物が男性のものだとするDNA型鑑定結果が決め手になった。 不正発覚後、服役中の男性から、一審佐賀地裁で国選弁護人を務めた弁護士に調査の依頼があり、複数の弁護士がこの事件の鑑定者が元職員かどうか調査。佐賀地検からは、事件記録が規定の保存期間を過ぎて廃棄済みのため確認できないとの回答で、弁護側は手元に残る裁判資料を元に調査を続けるとし、鑑定者が元職員の可能性がある場合は再審請求する方針を示していた。 地検は2月27日、科捜研の冨永剛弘・元主査(42)を虚偽有印公文書作成・同行使などの罪で佐賀地裁に在宅起訴。出口会長によると、男性の事件を鑑定した3人のうち1人の氏名と一致した。 県警や地検は、元職員による鑑定のうち「不適切」とした130件は、送検された25件も含め、捜査・公判への影響はなかったとしている。出口会長は「今回の事件の鑑定は130件に含まれていない可能性がある」としたうえで、「弁護士が男性と協議したうえでになるが、再審請求を検討せざるをえないだろう」と話した。(渕沢貴子)