【ホルムズ海峡封鎖で経済打撃】原油輸入巡り“中東依存”エプスタイン疑惑の波及は

中東情勢が緊迫の度を増す中、イランに対する軍事攻撃を受け、日本政府は安全保障および国民保護の観点から対応を本格化させている。高市総理は、「これまでに得ている情報を分析し、今後の対応のため関係閣僚間で議論を行う」と述べ、28日深夜、総理官邸において国家安全保障会議(NSC)を開催した。政府は情勢の推移を注視するとともに、日本への影響を多角的に分析する方針。今回の事態で最大の懸念の一つとなっているのが、日本のエネルギー安全保障。日本が輸入する原油の大半は中東地域に依存しており、その多くがホルムズ海峡を通過して国内へ運ばれている。仮に同海峡の航行が制限、あるいは封鎖される事態となれば、原油供給に直接的な影響が及び、国内経済や国民生活への波及は避けられないとの見方が広がっている。 一方、日本政府の対応としてもう一つ注目されるのが、イラン国内で拘束されている邦人の保護問題。日本政府によると、今年1月20日、イラン・テヘランにおいて邦人1人が拘束されており、NHKテヘラン支局長とみられている。この人物は首都テヘランにあるエビン刑務所第7区に収容されている可能性があるという。尾崎官房副長官は、「政府としては、本件拘束事案が判明して以降、イラン側に対し当該邦人の早期解放を強く求めてきている」と説明し、外交ルートを通じた働きかけを継続していることを明らかにした。 イランへの軍事攻撃を決断したトランプ大統領をめぐり、米国内では新たな政治的疑惑が浮上している。焦点となっているのは、少女への性的虐待事件で起訴され、2019年に拘置所内で死亡した資産家ジェフリー・エプスタイン氏の捜査資料、いわゆる「エプスタイン文書」の公開問題。文書の段階的公開が進むなか、政界・財界を巻き込む波紋は急速に拡大している。2月26日から27日にかけ、米下院監視・政府改革委員会は、ビル・クリントン元大統領およびヒラリー・クリントン元国務長官に対し、非公開の聞き取りを実施した。ヒラリー氏は、「エプスタイン氏と会った記憶はない。彼の飛行機に乗ったり、島や住宅、オフィスを訪れたこともない」と述べ、関係を明確に否定した。また、交友関係が指摘されてきたクリントン元大統領も、「彼の犯罪については全く知らなかった。限られたやり取りの中で、実際に何が起きていたかを示すものは一切目撃していない」と証言し、関与を否定した。そのうえでヒラリー氏は委員らに対し、トランプ大統領にもエプスタイン氏との過去の関係について宣誓証言を求めるべきだと主張した。 「エプスタイン文書」に名前が記載された人物をめぐり、世界各国で影響が広がっている。英国のマンデルソン前駐米大使は公務上の不正行為の疑いで逮捕され、米マイクロソフト共同創業者のビル・ゲイツ氏は、自身の慈善団体「ゲイツ財団」の会合で謝罪した。さらに、サマーズ元米財務長官はハーバード大学教授職の辞任を発表した。世界経済フォーラム(ダボス会議)を率いるブレンデ総裁も辞任の意向を示すなど、影響は国際機関にまで及んでいる。文書の中心人物であるジェフリー・エプスタイン氏は1953年、米ニューヨーク生まれ。私立高校で数学・物理教師を務めた後、大手投資銀行ベア・スターンズ(JPモルガンに買収)に勤務し、独立後は10億ドル以上を運用する資産家となった。政財界の著名人との広範な交友関係を築いた一方、未成年少女への性的虐待疑惑が浮上。2008年には司法取引により禁錮13か月の判決を受けた。2019年、未成年の性的人身売買の罪で再び起訴されたが、拘置所内で死亡し、自殺と断定された。 トランプ大統領は昨年11月19日、エプスタイン文書の公開を義務付ける法案に署名した。司法長官は30日以内の公開を命令し、12月19日に一部資料が公開された。しかし、数千ページに及ぶ資料の多くは黒塗り処理が施され、大統領関連の記録は限定的だった。さらに、今年1月30日、約300万ページの追加資料が公開されたものの、依然として一部が伏せられていた。批判の高まりを受け、2月9日には黒塗りを外した無修正版が議員限定で公開されたが、その後、米メディアは「53ページ分が削除された」と報道した。削除部分には、1983年ごろ、13歳だった女性がトランプ氏から性的虐待を受けたと主張する会話記録が含まれていたとされ、憶測を呼んでいる。2024年大統領選でトランプ氏は、未公開ファイルや「顧客リスト」の全面公開を公約に掲げていた。しかし、再選後は公開に慎重姿勢を示した。トランプ大統領を熱烈に応援するMAGA派の支持層にとって文書は、「ディープ・ステート」と呼ばれる既得権層の腐敗を象徴する証拠と位置づけられており、公開要求は依然として強い。公開資料では「トランプ」や「マー・ア・ラゴ」といった関連語が約3万8000回登場したとされている。 米国政治では、国内スキャンダルと軍事行動の関係が過去にも指摘されてきた。1998年12月15日、インターンの女性との不適切な関係をめぐり、虚偽の証言を行ったとして、クリントン大統領の弾劾採決が迫るなか、米国はイラクに対し「砂漠の狐作戦」を実施。当時、共和党は「国内問題から目をそらすための軍事行動だ」と批判した経緯がある。一方、トランプ関税政策のキーパーソンとされるラトニック商務長官も批判の対象となっている。同長官はかつて、エプスタイン氏について「二度と同じ部屋に入りたくない人物だ」と距離を強調していた。しかし、同文書には、2012年にエプスタイン氏の島を訪問した可能性を示すメールや、2015年にクリントン元国務長官のパーティーへ招待した記録が含まれていた。2月10日の公聴会では、「2012年にエプスタイン氏の島で昼食をとった。それは事実であり、約1時間滞在した」と証言を修正している。 ★ゲスト:田中浩一郎(慶応義塾大学大学院教授)、小谷哲男(明海大学教授)、三牧聖子(同志社大学大学院教授) ★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする