東京高裁が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の解散命令を維持したことで、教団は清算手続きに移行した。 裁判所が選任した清算人には広範な権限と裁量が与えられるが、具体的な道筋には不明な点も多い。1000億円超とされる教団の財産整理は長期化する可能性もある。 堀正一会長は退任し、清算人に選ばれた伊藤尚弁護士が教団の代表者となった。清算人は裁判所の監督の下、債権の取り立てや債務の弁済など必要な事務のすべてを処理する権限を持つ。教団側が特別抗告などをしても清算処理は続くが、最高裁で判断が覆されれば停止する。 同様に解散命令が出たオウム真理教の事例では、清算人が債権者を募る官報公告や本部施設などでの資産調査を実施したところ、債務超過が判明。破産手続きを終えるまでに約13年を要した。 破産法は虚偽の説明や財産開示を拒んだ場合などに罰則を定めているが、宗教法人法はこうした具体的な規定を設けていない。このため文化庁は昨年10月、旧統一教会を念頭に、清算に関する指針を公表。法的拘束力はないが、清算人への妨害や財産隠しがあった際に刑事・民事上の責任追及を検討することなどを求めた。 高裁決定によると、教団の資産は2024年度末で約1040億円に上る。献金被害者らが申し立てた集団調停では、これまで195人に解決金計約39億円の支払いが決まっているが、それでも資産の大半は残るとみられる。 教団は残余財産の帰属先に北海道帯広市の宗教法人「天地正教」を指定しており、全国統一教会被害対策弁護団は活動の継続を懸念している。田中富広前会長は昨年12月の辞任会見で、解散後の本部移転などについて「清算人次第なので具体的な計画を立てられないのが現状だ」と述べた。 清算人の伊藤弁護士は債権申し出期間を1年間とすることを検討しているといい、「弁済までには相応の時間を要すると想定される」とした。被害対策弁護団の阿部克臣弁護士は「トップの逮捕で『牙が抜かれた』オウムと異なり、活発な宗教法人が清算される初めてのケース。(清算過程が)分からない部分が多い」と話している。