パレスチナ人虐待、真相やぶの中 兵士の起訴取り下げで幕引き イスラエル軍

【カイロ時事】パレスチナ自治区ガザで拘束したパレスチナ人男性への虐待疑惑を巡り、イスラエル軍は暴行の疑いをかけられた兵士5人の起訴を取り下げた。 兵士が男性を暴行する様子だとする監視カメラ映像が流出し、軍の自浄作用が問われた事件は、真相が明らかにならないまま幕引きとなった。 事件があったのは2024年7月、イスラエル南部ネゲブ砂漠にあるスデ・テイマン基地の収容施設。報じられている起訴内容によると、兵士5人は男性を殴り、床を引きずり回した上で体を踏みつけ、スタンガンで電気ショックを与えた。男性は肋骨(ろっこつ)が折れ、肺には穴が開いた。臀部(でんぶ)も刺され、直腸に傷を負った。 軍法務機関が同月に捜査に乗り出し兵士を拘束すると、国会議員を含む極右勢力が大挙して基地を襲撃し、兵士の「解放」を訴えた。翌8月に事件当時の監視カメラ映像が流出。床にうつぶせになる約30人の収容者の中から、兵士らが1人を選び出す様子が映っていた。ただ、暴行したかどうかは、兵士らが盾で隠しており、確認できない。 軍の前法務総監は昨年10月、映像の流出に関与したと認めた上で、「卑劣な収容者だとしても、やってはいけないことがある」と訴えて辞任。その後逮捕された。 軍は今月12日、兵士5人への起訴を取り下げた。報道によると、新たに就任した法務総監は「被告が公正な裁判を受ける権利」を保障できる状況にないと主張。収容していた男性が現在ガザにおり、証言できないことも理由に挙げた。 イスラエルのネタニヤフ首相は「兵士に対する血の中傷が終結した」とこの決定を歓迎した。カッツ国防相は「軍の司法制度の役割は兵士を守ることだ」と強調。収容者の権利を保護するためではないと言い切った。

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