「紀州のドン・ファン」覚醒剤中毒死、2審も元妻に無罪判決 大阪高裁

「紀州のドン・ファン」と呼ばれた和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さん=当時(77)=に致死量の覚醒剤を飲ませ殺害したとして殺人などの罪に問われ、1審和歌山地裁で無罪を言い渡された元妻、須藤早貴被告(30)の控訴審の判決公判が23日、大阪高裁で開かれた。村越一浩裁判長は1審判決を支持し、検察側の控訴を棄却した。 直接証拠は存在せず、1審に続き間接証拠の評価が争点。控訴審で検察側は、1審判決は間接証拠を分断して評価し、総合評価をしていないと訴え、新たな証拠の採用や複数の証人に対する尋問を求めたが、高裁は全て退け、昨年12月の初公判で即日結審していた。 令和6年12月の1審判決によると、元妻は野崎さんが死亡する以前にインターネットで「覚醒剤 過剰摂取」「完全犯罪」などと検索。実際に覚醒剤の密売人とも接触していた。野崎さんが死亡した時間帯に自宅にいたのは元妻と野崎さんの2人だけで、元妻は遺体が見つかった2階と、居間などがある1階を頻繁に行き来していた。 1審判決は元妻には約13億円といわれる遺産を相続する権利があることも含め、これらが殺害を疑わせる事情と認める一方、殺害したとするには合理的な疑いが残るとした。その上で、野崎さんが初めて覚醒剤を使用し、誤って致死量を摂取した可能性がないとは言い切れないとして、無罪を言い渡した。 1審公判では被告人質問を通じ、55歳差という「年の差夫婦」だった2人の生活実態も明らかになった。結婚の条件は元妻が月に100万円を受け取ることで、「契約みたいな結婚」だったという。 さらに死亡直後の感情を問われると「どちらかといえば『無』」と返答。その後も「もうちょっと死に方を考えてほしかった。社長(野崎さん)があのタイミングで死んだせいで、何年も人殺し扱い」と自身の境遇を嘆くなどした。 ■和歌山資産家死亡 和歌山県田辺市の資産家、野崎幸助さんが平成30年5月24日、自宅2階で急性覚醒剤中毒で死亡。和歌山県警は令和3年4月、殺人容疑などで元妻(30)を逮捕し、和歌山地検が翌月、同罪などで起訴したが、6年12月の1審和歌山地裁判決は元妻に無罪を言い渡した。野崎さんは生前、多数の女性との関係を本に著し、欧州の伝説上の色男になぞらえ「紀州のドン・ファン」と呼ばれた。

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