東京・池袋の「ポケモンセンター」で女性店員が元交際相手の男に刺され、死亡した事件。男は過去にストーカー規制法違反の疑いで逮捕され、カウンセリングを受けるよう警視庁に促されていたものの、拒否していたことが分かりました。 「警察!警察!警察!」 フロアに響く叫び声。店舗からは多くの人が走って出てきます。 「スタッフも離れて!」 きのう午後7時20分ごろ、東京・池袋にあるサンシャインシティの「ポケモンセンター」で、店員の春川萌衣さん(21)が、突然男に刃物に刺され死亡しました。 目撃者 「黒いTシャツの男の人が、レジのあたりで暴れるように見えた」 男は、住所・職業不詳の広川大起容疑者(26)。春川さんの元交際相手でした。 事件当時、レジカウンターにいた春川さん。そこに刃物を持った広川容疑者が突然現れ、春川さんの首などを複数回刺したといいます。広川容疑者はその後、自らの首あたりを刺し、死亡しました。 現場で押収された凶器はタオルで巻かれ、刃先だけが見えている状態だったということです。 春川さんを知る人 「とっても礼儀正しい子で明るくて、兄弟が仲良くて。今ショック」 捜査関係者によりますと、2人は2023年12月ごろ、アルバイト先で知り合い、翌年10月ごろに交際を開始。去年7月に別れたといいます。きっかけは、春川さんがポケモンセンターで働き始めたことでした。 春川萌衣さん(去年12月 警視庁への相談) 「私はポケモンセンターで働くことが夢で、短期契約で働けることになりました。最初は広川も応援してくれていたのですが、しばらくすると『お前には向いてないから辞めろ』などと言って来るようになりました。彼の発言で心が苦しくなり、別れることを決めました」 その後、春川さんは広川容疑者からの連絡をブロック。すると、広川容疑者が仕事帰りに突然現れ、自宅までついてくるなどストーカー行為が繰り返されるようになりました。 去年12月、仕事を終えて帰宅すると… 春川萌衣さん 「玄関に紙袋が置かれていました。彼からのメッセージカードとプレゼント(ポケモンカード)が入っていて『今夜中に連絡をください。助けてください』と書いてありました」 春川さんはその後、警視庁に被害を相談。警察官が春川さんを自宅に送り届けると、広川容疑者が待ち伏せていたため、その場で身柄を確保し、ストーカー規制法違反の疑いで逮捕しました。 広川大起 容疑者 「復縁をしたかった。もう近づきません」 こう供述したという広川容疑者。車の中からは刃渡り10センチの果物ナイフが見つかったほか、春川さんを盗撮していたこともわかりました。 今年1月、広川容疑者は略式起訴され、釈放されました。警視庁はストーカーなどの行為をやめさせる「禁止命令」を出すとともに、カウンセリングを受けるよう働きかけましたが、広川容疑者は拒否したということです。 警察庁によりますと、去年1年間のストーカー規制法に基づく「禁止命令」の件数は過去最多を更新。被害を防ぐため、「禁止命令」を受けた原則すべての加害者に治療やカウンセリングを働きかけていて、おととし1年間に全国の警察が働きかけた加害者は3271人でした。 しかし、治療などを受けるかどうかは任意で、このうち9割が受診を拒否。実際に受診した加害者は5パーセントあまりにとどまっています。 ストーカーやDV加害者の更生プログラムを行うNPO法人の栗原加代美理事長。受診率が伸び悩む理由の一つに、当事者の加害者意識の欠如があるといいます。 NPO法人「ステップ」 栗原加代美 理事長 「加害者だという非が、認識がないです。相手が悪いと思っている。(Q.本人にその気がなければ?)なければ来ない。年間の警察に電話するストーカー案件は2万件超。うちに来るのは年間500名。あとは野放しですよ。やっぱり警察の限界だと思います」 これまでおよそ2000人の加害者の更生に取り組んできた栗原さん。更生プログラムを「任意」ではなく、義務化すべきだと訴えます。 NPO法人「ステップ」 栗原加代美 理事長 「アメリカでは、被害者が1回電話したらすぐ逮捕。更生プログラムに国からの命令で強制的に行かせるような体制をとっている。日本もそういう体制を取れたらいい」