望まない妊娠を誰にも言えないまま出産し、赤ちゃんを遺体遺棄したとして逮捕されたケースはこれまでに数多くある。家族にも言えない妊娠。その不安に晒され、命の責任に直面するのは「女性」だ。どう救えるのだろうか。 「大体9割以上が『妊娠出産を親に知られたら自分の人生終わる』なんですね」そう語るのは医療法人聖粒会慈恵病院の蓮田健院長だ。 蓮田院長は2007年から日本初の「赤ちゃんポスト」を開設し、孤立出産や、新生児の殺人・遺棄の防犯に取り組んできた。 「どうして殺人に至ってしまったか、簡単に申し上げるとパニックです。実際、その女性たちに拘置所とか留置所で面会すると、人の顔色をいつもうかがいながら生きてるような、そんな感じの人も少なくない」(蓮田院長、以下同) 「この子たちっていうのは、境界知能とか、それから発達障害、ADHDとか、非常に高い頻度で認められまして。常日頃から親から説教され、『虐待』『過干渉』が非常に多い。だから本当は親に相談しないといけないけども、一番知られたら困るのが親で、人生が終わるんじゃないかっていうくらいに恐れる」 厚労省は妊娠出産の相談電話番号を設け(#8778)、各都道府県では「にんしんSOS」などの相談窓口を設けている。しかし、この「相談」という言葉が高いハードルになっていると指摘する。 「妊娠相談窓口が全国にございますけれども、少なくとも親に知られないままにいろいろな妊婦検診してくれるとか、出産面倒を見てくれるとか、そういう保証がないと、その相談窓口に電話しても、結局は『じゃあ、あなた親御さんに言わないとね』って言っちゃうんですよ。家族が助けにならないので相談しろと言われても、自殺行為なんです。彼女たちにとっては」 現在、こども家庭庁では「育児放棄の助長」や「母親の孤立化」につながる懸念があるとして、内密出産などを推奨しない立場だ。 蓮田院長によると現在、日本の妊娠件数は年間およそ80万件、育児放棄の事案は全国でおよそ100件発生しているという。現在の相談体制は受け皿になりきれていないと話す。 「5000分の1から1万分の1という非常に低い頻度ではありますけれども、この人たちには特別な対応をしないと、結局誰も助けてくれないっていうことになって。そうこうしているうちに陣痛が始まって、パニックを起こして事件を起こしてしまう、そういう流れになってしまうので、ちょっとそこの配慮をいろいろな相談窓口とか社会に持っていただきたいなと思っています」 どんな支援が必要なのか。蓮田院長は「陣痛が起きる前に保護しなければならない」「親に知られたくない女性を受け入れる匿名サービスが必要」「『何も心配しなくていいから来てください』敷居の低い相談窓口を整備するべき」「できる人間の論理を押し付けてはいけない」と提言した。 (『ABEMA的ニュースショー』より)