違法な大麻由来成分を含むサプリメントの密輸入に関与した可能性があるとして福岡県警の捜査を受けたサントリーホールディングス(HD)元会長、新浪剛史氏(67)について、県警が16日、麻薬取締法違反(輸入)容疑で書類送検したことが捜査関係者への取材で判明した。新浪氏の知人で米国在住の女性も同容疑で書類送検したという。 捜査関係者によると、新浪氏は2025年8月、知人女性やその弟と共謀し、大麻由来の違法成分「THC」(テトラヒドロカンナビノール)を含むサプリを米国から日本に密輸した疑いが持たれている。 県警は海外にいる知人女性から直接聞き取りができておらず、捜査は難航。今回の書類送検で新浪氏について積極的に起訴を求める意見は付けていないとみられ、福岡地検も刑事責任に問えるかを慎重に判断する。 サプリは、知人女性が福岡県内に住む弟宛てに発送。県内に入った時点で門司税関が成分を検査したところ、基準値を超えるTHCが検出された。 情報提供を受けた福岡県警は「コントロールド・デリバリー」(泳がせ捜査)を実施して25年8月、荷物を受け取った弟を麻薬特例法違反容疑などで逮捕=処分保留で釈放=していた。弟は県警の調べに「サプリは姉から頼まれて新浪氏に送る予定だった」などと説明。また、違法な成分の有無は不明だが、過去にも弟経由で似たようなサプリが1度、新浪氏に送付されていたことも発覚した。 県警は8月22日、事件の関係先として東京都内の新浪氏の自宅を家宅捜索。だが、違法薬物や送付されたはずの1度目のサプリは見つからず、薬物使用を調べる尿検査も陰性だった。新浪氏は県警の任意の捜査に「大麻成分が含まれていることは知らなかった」と容疑を否認。また、9月3日に開いた記者会見ではサプリは健康管理のため知人女性から薦められ「適法と認識して購入した」と釈明した。1度目に送られたとされるサプリは「送り主が分からない荷物は廃棄する。家族が捨てた可能性がある」と話していた。 新浪氏は1981年に三菱商事に入社。ローソン社長を経て、2014年にサントリーHDの社長に就任し、25年3月に会長に就いた。23年からは経済同友会代表幹事も務めたが、一連の問題を受けて25年9月1日付でサントリーHD会長を、同30日付で経済同友会代表幹事をいずれも辞任した。【木下翔太郎、栗栖由喜】