医療機器選定で贈賄側の元社長も無罪判決 収賄側に「認識なく」

国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)の医療機器選定を巡り、便宜を図ってもらう見返りに医師に約170万円を渡したとして、贈賄罪に問われた医療機器メーカー「ゼオンメディカル」(東京)元社長、柳田昇被告(69)の判決で、東京地裁は16日、無罪(求刑・懲役1年)を言い渡した。中川正隆裁判長は、収賄側の医師に賄賂の認識がなかったことを理由に贈賄罪が成立しないと判断した。 警視庁捜査2課に2023年逮捕され、東京地検が収賄罪で起訴した医師に対し、東京地裁の別の裁判体は今年2月、「賄賂の認識がなかった」として無罪を言い渡し、検察側が控訴せずに判決が確定している。警視庁捜査2課が手がけた贈収賄事件が全面的に無罪となるのは異例。 東病院の肝胆膵(かんたんすい)内科医長だった医師と結んだ契約に基づき、ゼオン社が送金した約170万円の趣旨が争点だった。 契約はゼオン社の胆管用ステントの安全性などについて医師に調査を依頼する内容となっていたが、検察側は「調査に実態がなく、医師に自社製品をより多く使ってもらうことに対する謝礼だった」などと主張。これに対して元社長は公判で賄賂性を否定した。 判決は、契約には製品の販売促進の目的があり、元社長ら会社側には賄賂の認識があったとした。しかし、医師は病院の許可を得てゼオン社と契約を結び、実際に調査に協力していたことから「正当な契約に基づく報酬と認識していた」と認定。収賄側に賄賂の認識はなく、贈賄罪も成立しないと結論付けた。 無罪判決を受け、東京地検の市川宏次席検事は「判決内容を十分検討して適切に対処したい」とのコメントを出した。警視庁は「本件については検察当局において今後の対応を検討中と思われ、コメントは差し控える」とした。【菅健吾】

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