女優・坂口良子さんの娘で、元タレントの坂口杏里(35)が、3月17日、東京・八王子市内のコンビニで、約300円のサンドイッチ1個を万引きしたとして現行犯逮捕された。 「世間に広がったのは、“あの坂口が、数百円の食べ物のために御用か……”という驚きでした。元有名人の転落だけでなく、盗んだのが、ごく安価な食べ物だったことも衝撃を強めました」(全国紙社会部記者) だが、この一件は坂口杏里が起こした特殊な例として片づけられない。実は今、全国各地の小売り現場で、万引きの発生が急増しているのだ。 「警察庁の統計では、万引きの認知件数は2010年以降、長く減少傾向にありました。 しかし、23年に前年比11.4%増、24年に同5.5%増、25年に同7.0%増と、3年連続で前年を上回っているんです」(前同) しかも万引きは、非侵入窃盗の中で最も大きい割合を占め、全体の38.5%に達する。令和の売り場で、今なお拡大を続ける極めて身近な犯罪なのである。 これまでに実に6000人超の万引き犯を捕まえてきた、現場を知り尽くす万引きGメンの伊東ゆう氏は、増加の背景をこう分析する。 「コロナ禍の影響で生活が苦しくなった人が増えたことと、行動の縛りがなくなって外に出られるようになった開放感から、万引きも増えたということですね」 もう一つの大きな要因が、セルフレジの普及だ。 「会計で店員を介さないセルフレジが広がったことで、万引きのハードルは確実に下がったと思います。現場でも、初犯の人は増えましたね。 指摘されても、“うっかり間違えました”と言い逃れもしやすい。でも、高い商品ばかり都合よくミスする人はいませんよ」(前同) 万引きといえば、商品を服やバッグに隠し、そのまま店外に持ち出す——そんな手口を思い浮かべる。だが、今の売り場は違う。 「セルフレジコーナーには客をフォローする従業員が1人か2人立つ程度。それに複数台を見なければいけません。しかも、商品をスキャンすると“ピッ”と音が鳴るため、周囲には会計しているように見えやすいんです」(警視庁OB) 中でも、バーコードの読み取り方を不正する手口が増えているのだ。 「見た目は、ただの買い物客。だが、その実態は会計システムの穴を突く令和型窃盗です。店側も警察も、“操作ミス”なのか“故意”なのかの線引きに苦しんでいます」(前同) では現在、横行している令和の極悪な万引きの最新手口とは、どのようなものなのか。前出の伊東氏は、セルフレジを使った典型的な手法として、個数をごまかす『単品スキャン』を挙げた。 「例えばビールの6缶パックなら、本来はパック全体のバーコードを読み取らなければいけないのに、1缶ずつに付いている単品バーコードを1つだけスキャンするんです。 そうすると会計は1缶分ですんでしまい、残り5缶分は未精算のまま、持ち出されることになります」 箱買い、まとめ買い、大容量パック——。こうした複数入り商品は、見た目だけでは点数確認がしにくく、店側のチェックも甘くなりやすい。便利なセルフ会計の隙を突く手口だ。 さらに悪質で、現場泣かせなのが、安い商品だけレジに通す『もやしパス』だ。 「安いものをスキャンして、高いものをスルーする手口です。安価なもやしのバーコードを切り抜いた台紙を準備して持ってくるんです。 指の間に挟んでおいて、高級なお酒なんかをスキャンするときにも、もやしのバーコードを使って精算していきます」(前同) 高額商品を通しているように見せかけながら、機械には“もやし1袋”として認識させる。こちらも普通に会計しているように見えるため指摘しにくく、安い野菜一つで高額商品を持ち去る、卑劣極まりないやり方である。 バーコードを手で隠し、通したふりをする『指入れ』も横行しているという。 「バーコード部分を巧みに手で覆いながら機械にかざし、あたかも精算したように見せかける。周囲からは会計している動作にしか見えないため、これもまた見抜きにくいんです」(前出の警視庁OB)