■ 2009年の出来事 2009年(平成21年)、8月に行われた衆議院選挙で民主党が圧勝、鳩山由紀夫首相が誕生した。この年の新語・流行語大賞は「政権交代」だった。 民主政権での看板政策として行われたのが、「事業仕分け」。蓮舫議員がスパコン開発事業に対して「2位じゃだめなんでしょうか」との質問をしたことで有名だが、その際の対象となったスパコン「京」に関するクラウドWatchの記事では、当時のエピソードも紹介されている。 国内ではGDPが大幅減、米国では自動車大手のGM、クライスラーが相次いで経営破綻し、前年のリーマンショックの影響を感じさせた。そうした中で新型インフルエンザが世界的に流行。厚生省の資料によれば、日本では約200人が死亡した。 Impress Watchシリーズでも動きがあり、2001年に創刊した「BB Watch」(BroadBand Watch)が、この年の12月末で休刊。INTERNET Watchに統合となった。 2026年2月に30周年を迎えたINTERNET Watchは、1996年2月に有料メールマガジンとして創刊し、1997年1月にウェブサイトを開設した。ここでは2026年の視点から2009年の記事を10本取り上げ、当時を振り返る。 □1. 「Winny」開発者の金子勇氏に逆転無罪判決 ▶「Winny」開発者・金子勇氏、逆転無罪、大阪高裁で控訴審判決 10月、2004年に逮捕されたP2Pファイル共有ソフト「Winny」開発者の金子勇氏に、大阪高裁で逆転無罪の判決が言い渡された。上記記事において、一審では「金子氏はWinnyが違法に使われていることを知った上で開発・公開を行っていた」として、有罪となったが、控訴審では「ソフト提供者が著作権侵害の幇助と認められるためには、利用状況を認識しているだけでは条件として足りず、ソフトを違法行為の用途のみ、または主要な用途として使用させるようにインターネット上で勧めてソフトを提供している必要がある」と説明し、金子氏はこの条件に該当しない、と判決のポイントを説明している。 Winny事件に関しては、2023年に映画「Winny」が公開された際のまとめ記事も参照のこと。 □2. iPhone 3GS発売。最大の特徴は「コピペができる」!? ▶Appleが「iPhone3G S」発表、最新OS搭載でコピペも可能に iPhone 3GSが6月29日に発売に。ソフトバンクでは前年に「iPhone 3G」を発売していたが、NTTドコモとauのユーザーにとっては初のiPhoneとなった。iPhone 3Gからハードウェアのスペックアップ、OSの「iPhone OS 3.0」へのアップデートによるさまざまな新機能・新アプリ追加もある中、本誌が記事タイトルでも注目していたのは、メールやSNS、モブログ(モバイル端末からのブログ投稿)用端末としての使い勝手が大幅に向上する「コピペ可能」。 初期のiPhoneでは発売日の大行列も話題だったが、当時のレポートはケータイWatchの記事を参照されたい(ソフトバンク表参道、Apple Store銀座、ビックカメラ有楽町店、発売前日に行われた前夜祭)。 □3. 後の「Wi-Fi 4」、無線LAN規格「IEEE 802.11n」が正式承認 ▶IEEE、無線LAN規格「IEEE 802.11n」を正式承認 2002年から標準化作業が進められていた無線LAN規格「IEEE 802.11n」が、9月にIEEE正式承認された。2006年からドラフト規格(1.0、2.0がある)に対応した製品が発売されていたが、ドラフト2.0の相互接続認定プログラムに合格した製品は、正式対応製品として取り扱うとされた。 2018年に、Wi-Fi AllianceはWi-Fi認証プログラムを分かりやすくナンバリングすると発表し、当時策定中だった最新規格であるIEEE 802.11axを「Wi-Fi 6」とした。あわせて、1つ前のIEEE 802.11acは「Wi-Fi 5」、さらに1つ前となるIEEE 802.11nは「Wi-Fi 4」と呼ばれることになった。 □4. 「UQ WiMAX」スタート、ほかにも高速モバイル通信が次々と ▶「UQ WiMAX」提供開始、「真のモバイルブロードバンドを目指す」 2月、UQコミュニケーションズが、モバイルWiMAXによる通信サービス「UQ WiMAX」の試験サービスを開始。7月から正式サービスを開始した。開始当初の通信速度は下り最大40Mbps、上り最大10Mbps。当時の携帯電話(3G)の通信速度は、NTTドコモの「FOMAハイスピード」で下り14Mbps、上り5.7Mbps。 この年には、ほかにもXGPの「WILLCOM CORE XGP」、イー・モバイルのHSPA+サービスも始まっている。 □5. Googleが「謎の携帯端末」を社員に配布との怪情報 ▶Googleが謎の携帯端末を社員に配布、ブログに思わせぶりな投稿も Googleは12月、Google Mobile公式ブログに「これまでに公開されていない携帯端末を社員に配布し、テストを開始した」との投稿を行った。同時に、同社社員のTwitterでは「Google Phoneをテストしている」とのツイートがされたという。 これは、翌2010年1月に発表されたAndroidスマートフォン「Nexus One」だと見られる。Androidの情報は2007年から公開されていて、オープンプラットフォームであることが1つの特徴とされていた。 なお、初のAndroidスマートフォンは、2008年9月にT-Mobileから発売されている。日本で初めて発売されたAndroidスマートフォンは2009年7月にNTTドコモが発売した「HT-03A」。 □6. Twitterの流行が加速、有名人も続々参入 ▶勝間和代氏など、Twitterを利用する著名人がスペシャルゲスト iPhoneの普及もあってか(Twitter公式のiPhoneアプリは2010年の公開だが、サードパーティのアプリやウェブブラウザーから利用できた)、この年Twitterの流行が加速した。上記記事は、この年の10月に開催された公式イベント「Tweetup Tokyo 09 Fall」のレポート。勝間和代氏、広瀬香美氏ら、当時Twitterに増えだした有名人を紹介している。 「やじうまWatch」でもTwitterネタが多い。広瀬香美氏が当時の「Twitter」ロゴがカタカナのbnや、ホリエモンこと堀江貴文氏がiPhoneをゲットしたとツイートした件など、さまざまな動向を取り上げている。孫正義氏が利用を開始したのも、この年。 携帯電話版βがオープンなど新機能や、BIGLOBEがポータルトップにTwitter枠設置のような連携のニュースもあった。 □7. 「ChromeOS」のプロジェクトが始動 ▶「Google Chrome OS」プロジェクトが公開、製品登場は2010年後半 11月、Googleは、独自に開発したOS「Google Chrome OS」を、オープンソースプロジェクト「Chromium OS」として公開した。ウェブアプリケーションの利用に特化し、電源を入れて7秒で起動するという軽快さが売り。今の「Chromebook」が初めて発売されたのは2011年のこと □8. 明暗分かれるCGMサービス、ブログサービスも閉鎖に ▶2月に障害発生の「Doblog」。5月30日をもってサービスを終了 2003年頃からブログが注目され、各社がサービスを開始。2005年頃からはウェブ上における個人ユーザーの発信力・影響力が強まっていく「Web 2.0」のムーブメントが話題になるなどする中、ユーザー投稿型のCGM(Consumer Generated Media)サービスが続々と始まっていたが、ユーザーが集まらないサービスや商業的に成功できなかったサービスの閉鎖が、この年あたりから目立ち始める。 上記記事で取り上げているNTTデータの「Doblog」は、2月にサーバーのHDDに障害が発生。4月になってすべての情報の復旧はできなかったものの99%以上は復旧できた、といったアナウンスを行った後、開設時の目的であった技術的知見やノウハウの蓄積は達成できたとして、サービスの終了を発表した(同サービスはもともと実験サービスとして開始されていた)。 この年にはこのほか、2月にライブドアの初心者向けブログと位置づけられていた「nowa」が終了を発表、10月に「ドリコムブログ」がライブドアへの譲渡を発表している。ブログ以外では、アバターを使ったコミュニケーションが楽しめるサービスとして人気だった「Cafesta」が5月にサービス終了。米国では老舗ホームページ作成サービス「Yahoo! GeoCities」が10月に終了した(日本の「Yahoo!ジオシティーズ」は2019年まで提供された)。 SNSなどのCGMサービスは、ユーザーが多ければ多いほど、コンテンツの発信者も受信者も増えるためユーザーにとっての価値が上がる。人気サービスはますます人気になり、一方でユーザーの少ないサービスは盛り上げが難しく、二極化が進んでいく。 □9. スマイリーキクチ氏、ネットでの約10年にわたる誹謗中傷を説明 ▶「10年間ネットで中傷被害」スマイリーキクチがブログで事件経緯 ネットの誹謗中傷問題で、しばしば代表的な事例として語られるのが、スマイリーキクチ氏に対する誹謗中傷。上記の記事では、同氏が自身のブログで約10年間続いてきた誹謗中傷について説明したことを紹介している。この記事が公開される前に、警視庁は誹謗中傷容疑で18人を摘発したと発表している。 □10. 「Windows Phone」も発表。スマートフォン市場も戦争状態に!? ▶Windows Mobile 6.5搭載の「Windows Phone」は10月6日発売 iPhoneが大人気となり、GoogleもAndroidの提供を準備しつつあったこの年、Microsoftは「Windows Phone」を発表した。ただし、日本で端末が登場するのは2011年のこと。2026年現在では、iPhoneとAndroidの二強に割って入ることはできていない状況となっている。