フィリピンのドゥテルテ前大統領が主導した薬物犯罪対策「麻薬戦争」を巡り、国際刑事裁判所(ICC)が逮捕状を公開したデラロサ上院議員について、フィリピン当局は22日、逮捕状執行のための追跡チームを発足させたと明らかにした。デラロサ氏は拘束を恐れて一時、首都マニラの上院施設内にとどまっていたが、その後逃走し、所在不明となっている。 地元紙インクワイアラーによると、ナルタテス国家警察長官は22日、「上院議員の所在を特定するために追跡チームを動員した」と発表した。デラロサ氏側は2019年にフィリピンがICCを脱退したことなどから、最高裁に逮捕状執行の差し止めを求めていたが、却下されたことを受け、比司法省が21日、警察当局に同氏の逮捕を指示した。 ICCは今月11日、デラロサ氏が在任中に警察関係者らを使い、少なくとも32人の殺害に関与したとして、人道に対する罪の疑いで昨年、非公開で逮捕状を発行していたと公表した。 デラロサ氏は逮捕状公表時、上院の会合に出席していたが、拘束を警戒し、そのまま上院内にとどまった。「立てこもり」が3日目を迎えた13日夜には、比当局が上院内に突入し、現場では銃声騒ぎが発生。当局はいったん退却したが、この混乱の隙(すき)に、デラロサ氏は親ドゥテルテ派議員の車に同乗し、逃走したという。 デラロサ氏はドゥテルテ前大統領の側近で、前政権下の16年から18年に国家警察長官を務め、「麻薬戦争」を指揮していた。【バンコク国本愛】