「絶対、加害者にならないで」山口中村学園高で少年犯罪被害者当事者の会の一井さん講演【山口】

山口中村学園高(鶴永幸彦校長)で12日、少年犯罪被害者当事者の会(大阪府)の一井彩子さんによる講演会があり、全校生徒437人が命の尊さや加害者にならないことの大切さに耳を傾けた。 一井さんは1995年、当時15歳だった長男の勝さんを少年4人の暴集団暴行によって失った。事件から3日後に少年らは逮捕され、主犯格の少年は少年刑務所へ送られた。5年を経て出所した後に少年と両親が線香を上げたいと訪ねてきたという。 悩んだ末に対面したものの、暴力的で恐ろしいと聞いていた少年は精神に変調を来してまともに会話もできない状態だった。その後に精神科病院に入院したともいい「勝を殺したという意識もないのだろう」とやりきれない思いを語った。 その後も毎年、勝さんの命日を過ぎた頃に少年の母親と対面し続けたが、健全な親子関係が築けているとは思えず、ついに謝罪の言葉は無かったという。「非常に複雑な気持ちだった。はっきりと『許すことはできない』ということだけは伝えた」と当時の胸中を明かした。 加害者のプライバシーが守られる一方で被害者への配慮が少ないことを指摘。地方では加害者家族がその後も同じ地域に住み続け、加害者本人が住むケースもあり、遺族が不安な思いを抱えなくてはいけない実態を訴えた。 一方で、勝さんが生前に多くの友人に恵まれていたことが救いだったとし、同級生や先輩が大人になり、親になって子どものいとおしさを語ってくれたことや、23回忌の法要をしてくれたことが大きな支えになったと振り返った。 大切なのは思いやりを持ち、相手の立場になって考えること、人の痛みが分かることだと述べ「絶対に加害者にならないで」と語気を強めた。近年の子どもの自殺増加にも触れ「自分の子どもは生きたくても生きられなかった。つらいことがあるかもしれないが、必ず生きることを頑張ってください」と生徒たちにエールを送った。 生徒会長の宇野愛苺魅(めいみ)さん(3年)は「決して加害者にはならない、なりたくない。けれど平気で暴力を振るう人がいて、人が亡くなることで周囲の人が大きな悲しみに包まれることを改めて感じた」と話した。

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