与党「共に民主党」のチョン・チョンレ代表と野党第一党「国民の力」のチャン・ドンヒョク代表は、6月3日の統一地方選挙以降、党内で強く退陣を迫られています。本来、全国選挙が終わったら、敗北した側の代表は責任を取って辞任するのが政界の法則です。与野党の代表が同時に退陣を迫られるのは珍しい光景です。 正確に言えば、チョン・チョンレ代表は8月17日の党大会での代表選出馬を放棄するよう迫られており、チャン・ドンヒョク代表は即時辞任を迫られています。なぜこのようなことが起こるのでしょうか。この先どうなるのでしょうか。 統一地方選挙の結果の最大の特徴は、与野いずれもが敗北した選挙であったということです。民主党は(16カ所の市・道知事選で)15対1で勝てたはずの選挙に12対4で勝ちました。目標に達しなければ失敗です。 内容を見てみると、さらに深刻です。民主党は勝てたはずのソウル市長選、大邱(テグ)市長選、慶尚南道知事選挙で負けました。京畿道でも、民主党が勝たなければならない城南(ソンナム)、安山(アンサン)、果川(クァチョン)、義王(ウィワン)、河南(ハナム)、龍仁(ヨンイン)の市長の座を奪われました。忠清南道はパク・スヒョン候補が当選しましたが、15の基礎自治体の首長のうち10を奪われました。国会議員の再・補欠選挙でも、負けてはならない釜山北甲(プサン・プク・カプ:選挙区名)と京畿道平沢乙(ピョンテク・ウル)で負けました。 民主党の選挙成績が振るわなかったのは、李在明(イ・ジェミョン)大統領のせいです。今回の選挙は李在明政権に対する中間評価でした。李在明大統領の起訴取り消し問題と首都圏の不動産が悪材料として作用しました。不動産政策は中央政府の議題です。 かといって、大統領が責任を取って辞任するわけにはいきません。大統領は政権与党の最高責任者であると同時に国家の元首であり、行政府の首班です。李在明大統領は選挙直後の記者会見で、選挙結果について「国民からの私への警告」だと述べました。過ちを認めて謝罪した格好です。大統領になしうる最大限のことをしたのです。 政治的責任は誰が取るべきなのでしょうか。与党の代表です。チョン・チョンレ代表は悔しいことでしょう。「国民は永遠で、政権は短い」と述べました。「私が過ちを犯したわけでもないのに、なぜ責任を取らなければならないのか」という不満をそう表現したのでしょう。その通りです。 しかし、政治は論理学ではありません。権限と責任が一致しないことの方が多いのです。チョン・チョンレ代表が連任を放棄すべき理由は3つあります。 1つ目、政権与党の代表だからです。政権与党が選挙で負けたら、代表は大統領に代わり政治的責任を取って辞任するのが慣行です。 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領時代の「開かれたウリ党」がそうでした。開かれたウリ党は2004年の総選挙で、盧武鉉大統領が弾劾されそうになったおかげで、逆に152席の過半数を確保しました。その後の1年のあいだの2回の再・補欠選挙では連敗しました。敗北の原因は、ほとんどが盧武鉉大統領でした。 しかし、責任は開かれたウリ党の議長(代表)が負わされました。指導部はチョン・ドンヨン-シン・ギナム-イ・ブヨン-イム・チェジョン-ムン・ヒサン-チョン・セギュン-ユ・ジェゴン-チョン・ドンヨンーキム・グンテ-チョン・セギュンと次々に変わりました。開かれたウリ党の国会議員であったチョン・チョンレ代表も、このような歴史を誰よりもよく知っているはずです。 2つ目、いわゆる「李在明vsチョン・チョンレ」対決は避けるべきだからです。この対決は、李在明大統領とチョン・チョンレ代表の関係を悪化させるために保守勢力があおっているフレームです。 チョン・チョンレ代表は「反李在明」派ではありません。このかんのチョン・チョンレ代表の決定は、ほとんどが李在明大統領の「決裁」を経たものです。しかし、李在明大統領はチョン・チョンレ代表ではなく、キム・ミンソク首相を次の民主党代表に推しています。6月8日の記者会見では次のように述べています。 「本当に優れたリーダーシップで、内閣は大きな雑音なく、一つの目標に向かって、私が示す方向へと激しく走ってきた」 「今や別の役割を担うのが適切だと思われるため、役割を変えることになった」 6月9日、欧州訪問に出発する際、空港にはチョン・チョンレ代表は来させず、キム・ミンソク首相を呼びました。訪欧中も「与党は与えられた権力で責任を果たす能力と実績、包容と統合が重要だ」などの投稿をしています。このような行いは、党員たちに「チョン・チョンレではなくキム・ミンソクを選んでください」と訴えているのと同じです。 党員たちもざわついています。「大統領がここまでやるとは、よっぽどのことだ」という党員が増えているといいます。このような中でチョン・チョンレ代表が連任に挑戦すると、李大統領との対決が現実のものになってしまいます。この対決は現在の権力と未来の権力の闘争です。李在明大統領と民主党、双方にとって非常に大きな負担となります。 3つ目、民主党代表は本来、連任しないのが正常です。 金大中(キム・デジュン)元大統領が結党した平和民主党では、金大中総裁が連任した前例があります。その後、民主党の代表で連任したのは李在明大統領が唯一です。それには理由があります。 李在明代表は尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察の弾圧による二度にわたる拘束の危機を乗り越えました。2023年2月には国会で逮捕同意案が否決され、9月には逮捕同意案が可決されましたが、裁判所は拘束令状を棄却しました。2024年の総選挙で圧勝しましたが、代表職を維持しなければ何をされるかわからない切迫した状況でした。現在、チョン・チョンレ代表にはそのような切迫した事情はありません。 さらに、チョン・チョンレ代表の掲げた「内乱政党審判論」は今回の選挙を経て色あせてしまいました。党員主権主義もチョン・チョンレ代表の専有物ではありません。党員主権主義は本来、誤った用語です。主権は国民にあります。党員には党権があります。党員主権主義ではなく、党員党権主義こそ正確な表現です。チョン・チョンレ代表の全盛期は今や、終わりを迎えようとしているのです。 チャン・ドンヒョク代表には代表職を維持する大義名分がまったくありません。選挙直後、あらゆるメディアがチャン・ドンヒョク代表の退陣による国民の力の再建を求めました。 近ごろメディアに出演する国民の力の元・現職の党幹部パネリストの中で、チャン・ドンヒョク代表が代表を続けるべきだと主張する人はほとんどいません。国民の力の議員にも、チャン・ドンヒョク代表は代表を続けるべきだとおおっぴらに主張する人はいません。 もし議員総会でチャン・ドンヒョク代表の退陣の賛否を採決したら、賛成の方が多いでしょう。チャン・ドンヒョク代表の頼みは党員たちでしょうが、党員世論もあまり好意的ではありません。チャン・ドンヒョク代表の去就を全党員投票にかけたらどうなるでしょうか。私は退陣賛成の方が多いと思います。チャン・ドンヒョク代表の退陣は民意であり、党意です。 チャン・ドンヒョク代表は6月11日夜、フェイスブックに次のように投稿しています。 「本当におかしなことだ。民主党は、自党は敗北したと言ってチョン・チョンレ代表の『辞任』を要求している。国民の力は、国民の力は敗北したと言ってチャン・ドンヒョクの『辞任』を叫んでいる。両党の代表が『じゃんけん』でもすべき状況だ」 「チョン・チョンレ代表が言った。『政権は短く、国民は永遠だ』。これは百回言っても正しい。だから、まず直ちに約束した特検を発足させなければならない。『短い政権』李在明の顔色をうかがうのではなく、『永遠の国民』の意に従うべきだ。今こそ国民だけを見て進むべき時だ」 チャン・ドンヒョク代表は、自らの政治生命をつなぐためにチョン・チョンレ代表を頼ったのです。同病相憐れむと言うべきでしょうか、敵対的共存と言うべきでしょうか。それとも「ザリガニはカニの味方」(似た者同士はかばい合うという意味のことわざ)と言うべきでしょうか。政治の二極化時代の喜劇です。 チャン・ドンヒョク代表は昨年8月の党大会でキム・ムンス前大統領候補を破り、代表に選出されました。異変でした。どうしてこのようなことが可能だったのでしょうか。「ユン・アゲイン」系の強硬な党員たちに担がれたからです。彼は「ユン・アゲイン」のアバターであり、今までその役割に忠実でした。しかし、国民の力の強硬な党員や支持層も、チャン・ドンヒョクというアバターにそろそろ嫌気がさしているようです。 チャン・ドンヒョク代表が居座り続けたらどうなるでしょうか。党内では透明人間扱いされるでしょう。「ゾンビ代表」として生きていかなければならないでしょう。 チャン・ドンヒョク代表はホン・ジュンピョ元代表から学ぶ必要があります。ハンナラ党のホン・ジュンピョ代表は2011年10月のソウル市長補欠選挙で惨敗したものの、辞任せずに居座り続けました。基礎自治体の首長選で8人当選させたことを口実に「引き分けた」と言い張りました。DDoS攻撃事件で世論が悪化するとともに、最高委員が続々と辞任したため追い込まれ、12月9日に辞任しました。 しかし、自由韓国党代表時代の2018年の地方選挙では異なりました。出口調査の結果が発表されると、「すべての責任は私が取る(THE BUCK STOPS HERE)!」と投稿し、翌日辞任しました。潔い辞任は2021年の大統領候補を選ぶ党内予備選挙、2022年の大邱市長への当選など、政治的な再起の足がかりとなりました。 韓国ギャラップは6月12日に発表した世論調査(9~11日の電話面接調査)で、記述式で「将来の大統領候補」だと思う人物を尋ねています。オ・セフン9%、ハン・ドンフン8%、チョ・グク7%、キム・ミンソク5%、チャン・ドンヒョク3%、カン・フンシク2%、ソン・ヨンギル、イ・ジュンソク、ファン・ギョアン、イ・ジンスク、キム・ブギョム、チョン・チョンレ、ホン・ジュンピョが各1%でした(詳細は中央選挙世論調査審議委員会のウェブサイト参照)。サンプル数が1002人なので、1%は10人ほどです。 この結果を見てチャン・ドンヒョク代表は嫌がるでしょうか、それとも喜ぶでしょうか。オ・セフンとハン・ドンフンが1位と2位になったのですから、嫌がるでしょう。自身も3%ですから、喜ぶかもしれません。 いずれにせよ確かのは、チャン・ドンヒョク代表が居座れば居座るほど国民の力の再建は難しくなり、民主党が反射利益を得るということです。チャン・ドンヒョク代表はどのような選択をするでしょうか。みなさんはどうお考えですか。 ソン・ハニョン|政治部先任記者 (お問い合わせ [email protected] )