小学館の漫画配信アプリ「マンガワン」において、性加害で逮捕歴のある漫画家を別名義で新連載の原作に起用していた一連の問題を訴えていた「常人仮面」原作の鶴吉繪理氏が16日、公式SNSを通じ、騒動について「ひと段落した」と報告した。 編集部は今年2月、原作者「一路一」氏が、過去に性加害事件で逮捕・略式起訴され罰金刑を受けた漫画家・山本章一氏と同一人物であることを公表した。原作者の起用判断や確認体制に問題があったとして、作品の配信と単行本の出荷停止を発表した。 鶴吉氏は自身のSNSで「原作者の過去については全く存じ上げておらず、報道で初めて知った」と説明し、読者へ謝罪。突然の配信停止により、事情を知らずに制作に携わっていた作画担当者への影響も大きく、編集部の説明責任やコンプライアンス体制を問う声が広がっていた。小学館はその後、第三者を含む調査委員会の設置を発表し、再発防止に向けた検証を進めている。 この日、鶴吉氏は「ご無沙汰しております、鶴吉です。ご心配をおかけしていた常人仮面連載終了の件ですが、小学館さんとのお話が終わってひと段落しました。ご心配をおかけしましたが、次回作に向けてがんばりますので変わらぬ応援を頂けますと幸いです」と呼びかけた。 <小学館をめぐる一連の問題の経緯> ▼2月27日 マンガワン編集部が同アプリや公式SNSなどを通じて「『常人仮面』配信停止に関するご説明とお詫び」と題した声明を発表。「常人仮面」の原作者である一路一氏について、性加害で罰金刑を受けていた漫画「堕天作戦」作者の山本章一氏と同一人物であるとし、「2020年に、山本氏が逮捕・略式起訴され罰金刑を受けたことを踏まえ、『堕天作戦』の連載を中止いたしました。しかしながら、2022年に、マンガワン編集部は、一路一名義の原作で新連載『常人仮面』を開始いたしました」と経緯を説明。「本来であれば原作者として起用すべきではありませんでした。何よりも被害に遭われた方に対し、心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。 ▼2月28日 小学館が公式サイトを通じてコメントを発表。「会社として管理監督責任を問われる重大な事案であり、人権・コンプライアンス意識の欠如があったと認識しております」とした。その上で、一連の問題を解明するための調査委員会立ち上げを報告した。 ▼3月2日 小学館は公式サイトを通じ、社内調査を進めた結果、新たな原作者起用問題が発覚したと発表。20年に強制わいせつ容疑で逮捕された「アクタージュ act-age」(集英社、連載打ち切り)の原作者・マツキタツヤ氏を別名義で『星霜の心理士』の原作に起用していたと報告した。一連の問題を受け、第三者委員会を設置する方針を固めたことを伝えた。 ▼3月8日 小学館が性被害を受けた女性に謝罪していたことが明らかになった。女性の代理人を務める法律事務所が、公式サイトを通じて公表した。翌9日には、小学館が公式サイトを更新し、被害女性に謝罪したことを報告。「弊社は2026年3月5日、弊社媒体『マンガワン』にて作品を掲載しておりました山本章一氏の被害に遭われた女性に、謝罪の機会を頂戴しました」とした。 ▼3月11日 小学館が公式サイトで「週刊文春」の報道に関する声明を発表。同社の元従業員が取引先の従業員に対し、取引関係上の優位性を利用した状況の下で性的な行為を求めるなどの不適切行為があったことを認め、謝罪した。 ▼3月19日 小学館は臨時取締役会を開催し、第三者委員会を設置することを決議。第三者委員会は外部の弁護士3名で構成され、同社は「調査に全面的に協力して参ります」とした。