東京地検特捜部が逮捕した会社社長の男性の取り調べを担当した堀木博司検事(57)=現大阪高検=について、東京地裁(宮田祥次裁判長)は24日、刑事裁判を開くよう求めた社長の付審判請求を認め、特別公務員暴行陵虐罪で審判に付す決定を出した。現職検察官が審判に付されるのは、大阪地検特捜部が捜査した事件で取り調べ担当だった男性検事に続き2例目。今後、刑事裁判が開かれる。 付審判請求をしたのは、太陽光発電関連会社「テクノシステム」(東京)社長の生田尚之被告(52)。太陽光発電事業への融資名目で複数の金融機関から約22億1500万円をだまし取ったなどとして、2021年5~7月、東京地検特捜部に逮捕され、詐欺罪などで起訴された。一審・東京地裁で26年3月に懲役11年の判決を受け、控訴している。 決定によると、堀木検事は21年7月5日、東京拘置所で取り調べ中に生田社長に対し、「黙秘を人のせいにするな」などと怒声を上げたとされる。 付審判請求書によると、取り調べは5月27日の逮捕初日から41日連続計205時間にわたり、黙秘する生田社長に対し、堀木検事から「検察庁を敵視するってことは反社(反社会的勢力)や」「黙秘したらええやん、損やけどな、黙秘」などの発言があったという。弁護人が東京地検トップの検事正に苦情を伝え、最高検にも指導するよう申し入れても、こうした発言が繰り返されたとされる。 最高検は22年、黙秘権行使の非難と捉えられかねない発言や侮辱的な発言があったとして「不適正」と認定。当時の上司が堀木検事に改善を指導したという。 生田社長は24年11月、堀木検事を特別公務員暴行陵虐の疑いで告訴。東京高検が26年3月に不起訴処分(嫌疑不十分)としたことを受け、4月に付審判を請求していた。このほか、国に1100万円の損害賠償を求める訴訟も起こしている。 現職検察官が審判に付されるのは田渕大輔検事(54)=現東京高検=以来。田渕検事は、大阪地検特捜部が19年12月に不動産会社「プレサンスコーポレーション」の社長だった男性を業務上横領の疑いで逮捕し、その後無罪となった事件で、元社長が事件に関与したとする供述をした部下の取り調べを担当した。 大阪高裁は24年8月の決定で、元社長の請求を認め、田渕検事の取り調べが特別公務員暴行陵虐罪に当たる疑いがあると判断。問題の取り調べが録音・録画されている中で行われたことについて、「個人の資質や能力にのみ起因するものと捉えるべきではない」とし、「検察における捜査・取り調べの運用の在り方を組織として真剣に検討すべきだ」と言及していた。堀木検事の取り調べも録音・録画されている。