金融車と呼ばれる車がある。何らかの理由で、車を買う際に組んだローン残高がある状態で市場に出回ることになった車や、借金の担保として取られた車を指す。「金融物」などとも呼ばれており、近年では諸事情で名義変更ができない車全般に使われる言葉だ。 もともと金融車は暴力団関係者に人気のあった車だが、半グレにも人気だ。暴力団の場合、暴排条例が施行されて以降、本人名義で車を買うことはできず、別の名義人を用意するなどして高級車などを調達してきた。今年4月、住吉会幹部が逮捕された件は、傘下の組幹部の男(詐欺罪で逮捕)が身分を隠して購入したトヨタ・アルファードを不正に購入したものと知りながら使用した容疑だった。 法律や条例によって行動が制限されている暴力団が、金融車を利用する理由はわかるが、半グレにも人気の理由とは何か。そこには犯罪者特有の事情もあった。 ローンが残っている車を買うことにはメリットとデメリットが存在する。メリットとしては、中古販売価格が一般の中古車に比べて安くなることや、権利を移転した際の名義変更手続きなどが不要な点が挙げられる(名変したくてもできないのだが)。 デメリットは大きい。名義変更ができないということは、入れる保険が限られるだけでなく、車検が受けられない場合もあり、簡単に廃車にもできない。ローン会社が車を回収したり、所有者が返還を求める可能性などがあり、一般人が購入するにはリスクが大きい。 しかし、たとえ名義変更をせずとも現金一括で購入すれば、割安で高級車に乗れるというのは、暴力団からすると、メリットでもある。個人を特定されにくく、入手が簡単となれば、半グレたちからも好まれる理由になる。 実際に中古車販売業者数店舗に話を聞いてみると、上記のデメリットも現在は殆どないとのことだ。とある中古車販売業者は。「ローンの種類が重要」だと話す。 「昔は怪しい車と言われていた時期もありますが、今の金融車はそんなことはありません。書類が揃っていれば車検も受けられますし、業者も怪しい人物からは車を購入しません。重要なのはどこでローンが組まれているかです。ディーラーローンなのか、銀行なのか、ローンの種類によって差し押さえられるリスクが変わります。 ローンを返済しない限り、車の所有権はないので、元の持ち主がローンを滞納すると回収される可能性は常にあります。飛んでしまうと、必要な書類も揃いませんし、車を差し押さえられる可能性もあります」 昔ほど怪しくないといっても、リスクがあることは間違いないようだ。