13日、東京・渋谷区の雑居ビルの男女兼用トイレで盗撮をしたとして、茨城県水戸市の医療法人理事長の男が再逮捕された。男は自身が経営する水戸市の医療施設の女子トイレでも100人以上を盗撮した疑いで逮捕・起訴されていた。テレビ朝日社会部の古武家朋哉記者は、一見接点のない「水戸」と「渋谷」を繋いだ容疑者の行動や、捜査員の執念が光るビル特定までの地道な裏側を解説した。 再逮捕されたのは、水戸市の医療法人啓和会理事長で医師の久保田光博容疑者だ。久保田容疑者は一昨年、渋谷区神宮前にある雑居ビルの男女兼用トイレ内に、リモコンで遠隔操作ができる小型カメラを換気口の裏に設置し、利用客や従業員ら延べ15人を盗撮した疑いが持たれている。 水戸を拠点とする久保田容疑者が「なぜ渋谷で犯行に及んだのか」という点について、古武家記者は容疑者の私生活における行動を指摘する。久保田容疑者は医師免許を持っており、非常勤の仕事か何かで都内に赴く用事があったとみられ、その際に現場となった神宮前の雑居ビルにある飲食店をプライベートで利用していた可能性がある。その際、ビル内のトイレが男性も立ち入りやすい「男女兼用トイレ」だったことから目をつけ、人目を盗んで小型カメラを設置したとみられている。 この神宮前での余罪が浮上した最大のきっかけは、押収されたカメラに挿入されていた「マイクロSDカード」だった。そもそも事件は、久保田容疑者が経営する水戸の医療施設で、職員が掃除中に換気口の裏にある不審な小型カメラ(レンズ径わずか2ミリ)を発見し、警察に提出したことで発覚。そのカメラから見つかったマイクロSDカードの中に、水戸の施設だけではなく、渋谷の雑居ビルのトイレで撮影された映像が残されており、これが容疑者を追い詰める決定的な物証となった。 さらに、容疑者の特定には盗撮犯に極めて多い「命取りなミス」が関係していた。古武家記者によると、盗撮事件ではカメラを設置する瞬間や、後から回収する際、犯人自身の顔や手元がカメラに映り込んでしまい逮捕に至るケースが非常に多いという。今回の事件でもまさにそのパターンであり、久保田容疑者が設置したカメラを「回収する瞬間」の映像に本人の姿がはっきりと映り込んでいたことが、逮捕の有力な裏付けとなった。 しかし、映像に本人の姿が映っていたとしても、容疑者自身は渋谷での犯行について一切供述していなかったため、撮影場所の特定は困難を極めた。そこで光ったのが、捜査員の地道な努力だ。警察は回収した膨大な映像を1コマずつ確認する果てしない解析作業を敢行。映像にわずかに映り込んでいた壁の色などといったトイレごとの微細な特徴を発見し、これらを執念深く照合していくことで、最終的に神宮前の雑居ビルを特定することに成功した。 久保田容疑者は当初容疑を否認していたものの、その後の取り調べでは一転して容疑を認め、「自己の性的欲求を満たすためだった」と供述している。警察の捜査では、撮影された映像がネット上などに転売・流出された形跡はなく、現時点では自己観賞用の目的だったとみられている。すでに3回の逮捕を経ていることから、捜査機関は特定に至ったこれらの容疑事実をもとに、刑事裁判の次のステップへ進むものとみられる。 (ABEMA NEWS)