『事実無根』“音声は自分”も疑惑否定 福岡県議会“ポストとカネ” 副議長が会見

福岡県議会の議長ポストをめぐる金銭授受疑惑で、当事者とされる副議長が、1時間半に及ぶ会見を開き、潔白を主張しました。 福岡県議会 中尾正幸副議長 「私は間違いなく、現金1000万円は見ておりません。“声紋”も一致した会話もあるかもしれませんけど、お金は受け取っておりません」 以前、議長を務めた吉松源昭県議が、総額約2000万円を自民党県議団幹部らに支払ったと告発しました。 現金を受け取ったと名指しされたのは、中尾現副議長のほか、蔵内勇夫現議長、そして、自民党福岡県連会長の松本國寛県議などです。 その際、証拠として公表したのが、2019年10月15日の中尾氏との音声です。 吉松県議 「接待みたいなことを」 中尾氏とされる相手 「これで、だいたい確定する。5月頭ぐらいで、だいたい蔵内会をやって」 吉松県議 「私が『蔵内会』だけは、参加させてもらえる」 中尾氏とされる相手 「そうそうそうそう」 『蔵内会』とは、ゴルフ大会のこと。その翌日に現金を渡すよう、求めるような会話です。 中尾氏とされる相手 「俺はね、松本会長が受け取るんやけ、次の日でもええんやないかって提案したんよ。10月17日に会長のところでもいいやないと、荷物、大きいけん。俺そこ行くけん。ちょっとね、大金やけんね、管理しとかんと」 この音声について、質問が飛びました。 福岡県議会 中尾正幸副議長 「『今どきはAIで何とでもなるから』いろんな方からそう言われましたので、その意見も踏まえたら、やっぱり信ぴょう性に乏しいと私は思っています。『大金』『荷物』だとかいう言葉については、たぶん、私の言葉ではないと思っています」 自身の声を使って「AIがつくった会話」だと主張します。 福岡県議会 中尾正幸副議長 「(Q.専門機関が行った結果と齟齬がある)それは、もう信じられないです」 吉松県議が録音していた音声データが声紋鑑定で「99.99%、副議長の声だ」と一部で報道された件について、追及が続きます。 福岡県議会 中尾正幸副議長 「(Q.逮捕状の証拠としても採用されている。それを否定する材料をお持ちなのか。技術的・専門的に否定される材料を技術的・専門的にお答えください)技術的・専門的…私は、専門的ではない。私の感覚は信じられない。(Q.科学的に証明されたものを感覚的に否定)はい。(Q.県民が納得すると思うか)納得しないでしょうね。(Q.説明責任を果たしているか)音声の改ざんはないということか。(Q.そういう指摘、専門家が)にわかに信じられないが、科学的にそうであれば私が言った言葉。(Q.会話は存在している)会話は存在しているでしょうね」 中尾氏は、これまで、吉松県議のほうから現金を渡すよう持ちかけてきたと説明してきました。 福岡県議会 中尾正幸副議長 「(Q.あのお金は何のお金だったのか)わかりません、見ていないから。(Q.あの場に1000万円があったという主張ではない)え?そうなんですか。(Q.あした渡すという話)え?あしたお金を渡す?受け渡したときの音声は、なぜないのか。じゃあ、事実無根。(Q.『大金』は何を指すのか)わかりません」 音声が自分の声だとは、なかば認めましたが、カネを受け取ったことは最後まで認めませんでした。 会見を見た吉松県議は、音声を録音した状況を、改めて、説明しました。 福岡県議会 吉松源昭元議長 「(Q.(中尾氏は)1000万円について『見ていない』『受け取っていない』と)自民党の部屋にいて、ちょっと呼ばれての会話ですから、そこに1000万円があるわけではない。(中尾氏は)立ち会ったという認識、受け取ってはないかもしれません。松本会長が預かって、誰かに渡したということです」 「大金」を受け取ったと名指しされた蔵内議長と松本県議。それぞれ、2019年に1000万円を受け取ったことは否定しています。 福岡県議会 蔵内勇夫議長 「そういう文化は、とっくになくなっていますよ。(Q.昔はあったのですか)知りません」 松本國寛県議 「一切、そういう事実はありません。全くありません、ないです」 しかし、金銭授受があったと証言しているのは、一人ではありません。 吉松県議と同じ期間に副議長を務めた江藤秀之県議は、ポストを得るために「825万円払った」と証言しています。 松本県議らは13日、上京し、自民党の鈴木幹事長と面会していました。 自民党 鈴木俊一幹事長 「まず、福岡県連で十分な調査というか、実態を調べていただくこと。これが重要なことだと思っている」 福岡県 服部誠太郎知事 「水掛け論を繰り返していてもしょうがない。第三者を入れた徹底的な調査の結果を、速やかに県民の皆さまの前に明らかにしてほしい」 県民からは、怒りの声です。 40代 「(Q.県民は納得するかという質問に『納得しないと思う』と)しないです、ばかにしてるのかな」 70代 「(Q.納得できるか)たぶんできない。している人は支持者だけ」 福岡県議会 中尾正幸副議長 「(Q.責任を取る考えは)ありません。事実関係を明らかにすることが、私の責務だと思っているので、外部有識者による調査に全面的に協力して、疑念を払拭することに全力を尽くしたい」 ◆福岡県議会の取材を続ける九州朝日放送の上月英興記者に聞きます。 (Q:きょうの会見を取材して、どう感じましたか) 上月英興記者 「録音データについて、当初、AIによる改ざんの可能性を訴えていたのですが、途中から自分の声だと認めるなど、発言にブレがありました。中尾副議長自身が『県民は納得しないでしょうね』と認める場面もあり、これには私も耳を疑いました。自分の主張を裏付ける証拠を持ち合わせておらず、“丸腰”で会見に臨んだのかなと思わせるような会見でした」 (Q.吉松県議以外にも金銭を支払ったという県議からの証言も相次いでいます。その背景は) 上月英興記者 「証言した議員の1人は、『議長になるまでに1000万円ぐらいは覚悟しておかないかんぞ』と先輩議員から言われたと話していて、当時は当たり前に思っていたけど、報道を見て良心の呵責を感じるようになったと証言した理由を話していました」 (Q.こうした事態、県民の方からどのような声が聞こえてきますか) 上月英興記者 「福岡県議会では、これまでも高額なリゾートホテルに泊まる海外視察など、数々の問題が取り上げられていて、県民の怒りの声は、かなり大きいのではないかと感じます。きょうは、中尾副議長が会見で、完全否定しましたが、県民の方からは『否定するだけなら誰でもできるので、はっきりした証拠を示してほしい』という声が上がっていました。今後も、県議同士が対立を続ける状況で、真相解明の糸口が見えないと、県政の停滞は必至だと思っています。県議会は、全県議に対して聞き取り調査をすると決めていて、専門家の人選を進めている状況です。その調査がどれほど客観的なものになるのか。そして、その調査に対して、県議たちが真摯に真相を語るのかが注目されます」

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