「緊急性があるから110番入電を」無差別殺傷計画を防いだ“加藤元死刑囚の友人” 警察が動いた決め手は「具体性」元科捜研が見解

東京で無差別殺傷事件を計画したとして、富山県滑川市の無職・毛利勝己容疑者(53)が殺人予備の疑いで逮捕された。東京行きの高速バスを予約し、ナイフを準備していた疑いが持たれている。 毛利容疑者は警察の調べに対し、「物価高による生活苦から死にたいと思い、東京で無差別殺人を起こせば射殺されるか死刑になるから死ねると思った」と供述し、2008年の秋葉原無差別殺傷事件を意識していた趣旨の話もしているという。 逮捕のきっかけとなったのは、毛利容疑者からSNS上で相談を受けていた大友秀逸氏の通報だった。大友氏は、秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大元死刑囚の友人で、現在は保護司を務めている。メッセージをやり取りしていた中で毛利容疑者の異変に気づき、警察に通報したことで事件は未然に防がれた。 2026年6月に秋葉原事件の特集でABEMA的ニュースショーに出演した大友氏。同年7月にその放送内容を観たという毛利容疑者から接触があったという。 「秋葉原のほうで事件を起こすような『楽しくヤッて』みたいなことを、みんなの目につく公の場所でやられるのはちょっと嫌だったので『続けるならDMにしてください』と言ったら、数日したらDMがきて『生活状況苦しいんだ』『イライラしているんだ』と。そういう身の上話の中に『7人ぐらいの命を奪って歴史に名を残したい』みたいな、完全に秋葉原無差別殺傷事件のようなコメントがあったので、愉快犯的な人なのか、本当に考えている人なのか分からないから、そこには触れずにやり取りを続けた」(大友氏) さらに、「『片道切符で富山から東京に行きます』と来たから『なんだろう?急に言ってきたな』と。前段が『秋葉原事件で』とあるから、ジョークというか不謹慎なことをわざと言ってきているのか、本気なのかな?と思い始めて。確信したのは実際に私が『事件を起こすつもりですか?』と聞いたら『言及を差し控える』というコメントが返ってきて。今までやり取りした人って『絶対やってやる』と、駅の名前や方法を述べる人か『ごめんなさい、そういうのはやらないから通報しないでください』という、ゼロか100の対応がほとんどだった。要はどっちつかず。しかも文章はしっかりやり取りができていた人だからこそこれは起こしそうだという感があったのでそのタイミングで通報した」と、今まで数々のやり取りをした経験から「あれ、これはやるかな」と感じたという。 過去にも通報した経験を持つという大友氏だが「所轄の警察とかに電話すると、8件ぐらいは要は空振り。やはり警察署も忙しいから『お前みたいなおかしな奴が電話かけてよこすな』『おかしな奴とやり取りするから余計おかしくなるんだ』と。実は『何々駅で』というケースはガチャッと切られちゃって」と告白。 事件が起きる可能性に不安を感じて現地に足を運んだこともあるそうで、「何も起きなかった。例えば『国会議事堂の近くの施設で』というやり取りをしていたら(現地に)行って。今は経験値があるから、そんな国会周りなんてセキュリティレベル高いの知っているから無理だって思うけど、当時は分からないから実際に行ったら逆に私が職質をかけられて『何やっているんですか?』と。事情を説明したら笑われて『ここじゃ無理だよ』と言われて。国会の写真だけ撮って『散歩してきました』とつぶやいて終わったり。みたいなことを5年間ぐらいずっと続けてきた」と振り返った。 そういった経験から、今回通報したという大友氏。「最初は警視庁に電話をかけて。一発目に出た方から『それは緊急性があるから110番入電して、富山県警につないでと言えばつなげてもらえるから、そこで話してください』と言われて、電話をかけた」。 元京都府警科学捜査研究所の矢山和宏氏は、通報に対する警察の動きについて「今回富山県警としても、より具体的に明確な犯行の計画というのが明示されたということで、迅速に動いたと思う」と評価。世間で「事件が起こってからじゃないと警察が動いてくれない」といった声があることについては「実際『動けない』ということではなく、大都市などでは制服を着た地域の警察官の方が警らをしていて、挙動不審だったりすると職務質問をする。例えば、『バッグの中身を見せてください』『ポケットどんなものが入っているんですか』とご協力いただいて、そこから凶器のようなものがあれば、署のほうに同行してもらい、いろいろと話を聞くことで、実際に事件を防いでいるということはいくつもあると思う」と語った。 一方で大友氏は、「今回も実は所轄の警察署のほうから『証拠を提出してほしい』と言われて。警察署に持っていく途中に実はその署から電話がきて『もしかしたら、やれることがないから、来ないでもらっても大丈夫かもしれない』という電話を実はいただいてしまって。そこで帰ってしまったらつなげないと思ったから『ごめんなさい、もう電車乗っちゃったので行くだけ行っていいですか』と言って、行ってお見せして記録を残していただけた。押し切れたからよかった」とも語った。 これを聞いた矢山氏は、「警察の窓口にもこういった相談というのが数多く来るが、その中には愚痴であったり、実効性の伴わないものがけっこう多い。なので現場で見極めるということがなかなか難しいので、こういった大友さんのような方がおられるというのは、警察としても非常にありがたい」と語った。 こうした経験を踏まえ、大友氏は「一般の人だと通報がしにくい。ハードルが高いし、保護司という肩書でも難しいところがある」と、何かしらの仕組みづくりが必要ではないかと提言。 「例えば、ネット犯罪だと土日窓口閉まっている。『メールで入れてください』もしくは『月曜日を待ってください』『緊急なら110番してください』とホームページに書いてあるけど、110番というのはハードルが高いから、月曜日まで待とうと思っていたら、今回のは間に合わなかった。そこを仕組みとして、根本的に変えなければ、躊躇して通報できなくて事件につながってしまう可能性はあるから、変えたほうがいい」と訴えた。 (『ABEMA的ニュースショー』より)

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