原告が全面勝訴 松橋事件国家賠償請求訴訟控訴審 国に加えて熊本県にも賠償を命じる判決

約40年前、男性が殺害された『松橋(まつばせ)事件』をめぐり、再審無罪となった男性の遺族が、国と熊本県に損害賠償を求めた裁判の控訴審判決です。 福岡高裁は27日、地裁判決から一転、国に加えて、熊本県にも賠償を命じる判決を言い渡しました。 まずは事件について振り返ります。 1985年に現在の宇城市松橋町で男性が刃物で殺害された『松橋事件』をめぐっては、殺人の罪などで服役した宮田 浩喜(こうき)さんが再審・裁判のやり直しを請求。 熊本地裁が2016年、「宮田さんの自白は信用できない」として、再審開始を認め、2019年に再審無罪となりました。 宮田さんはその翌年、捜査の違法性を明らかにするため、国と熊本県に対し、慰謝料などおよそ8500万円の損害賠償を求めて提訴。 2020年に宮田さんが亡くなってからは、遺族が裁判を引き継いでいました。この裁判の主な争点は、再審無罪の決め手となった証拠を検察が裁判所に提出しなかったことや、宮田さんが自白に至った県警の取り調べが違法だったかどうかです。 去年3月、一審の熊本地裁は検察の違法性を認め、国に対して、約2380万円の賠償を命じたものの、県警については違法性を認めず、熊本県への請求は棄却。 その後、国と宮田さんの遺族側がそれぞれ控訴していました。 27日、福岡高裁での判決の日を迎えました。 【松橋事件国家賠償請求訴訟弁護団 齊藤 誠 共同代表】 「警察や検察の捜査のあり方をより明らかにできるような判決を期待しています」 【前田 美沙希 記者】 「弁護団が出てきました。再び勝訴、再び勝訴。地裁判決から一転、福岡高裁は、熊本県にも賠償を命じました。福岡高裁は、国、熊本県、両方に賠償を命じました」 27日の判決で福岡高裁の岡田 健(たけし)裁判長は、検察が証拠を提出しなかったことについては、一審同様、義務違反と違法性を認めた上で「意図的であれば、犯罪的な行為であったとすら言い得ることで、過失による違反でもはなはだしい職務怠慢であったと言わざるを得ない」と指摘しました。 さらに熊本県警による宮田さんへの逮捕前の取り調べについて、「有力な証拠が乏しい中で犯人であるとの予断に基づき、自白させることを目的としていた」とし、捜査の違法性を認定。そして、国と熊本県に対し、計2380万円あまりの賠償を命じました。 判決後、会見を開いた弁護団は、国と熊本県、両方に賠償を命じた判決を高く評価しました。 【弁護団 齊藤 誠 共同代表】 「完璧な勝利。これだけはっきり違法だと認めた判決は、高裁判決では初めてではないかと思う。検察の『証拠隠し』も断罪している。そういう意味では我々の主張を全て認めた判決。40年たって、まさに感無量と言っていい」 一方、熊本地検の加藤 和宏 次席検事は「判決の内容を精査し、関係機関や上級庁と協議の上で適切に対応する」とコメント。 また、熊本県警の渋谷 明紀 首席監察官は「判決内容を精査し、今後の対応を検討する」としています。

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