クラリティ法案が州の暗号資産規制を弱体化させる可能性──米NY州司法長官が警告

ニューヨーク州のLetitia James(レティシア・ジェームズ)司法長官は7月27日、アメリカ連邦議会に対し、暗号資産(仮想通貨)企業への監督を強化するよう求める書面証言を提出した。 その中でジェームズ氏は、審議中のクラリティ法案が、州による詐欺捜査やプラットフォームへの責任追及の能力を弱めかねないと警告している。 証言は米上院常設調査小委員会に提出された。ジェームズ氏は、上院で審議中の暗号資産(仮想通貨)市場構造法案「CLARITY法案(クラリティ法案)」が暗号資産市場に対する州の規制を弱め、監督権限を商品先物取引委員会(CFTC)に移管するものだと指摘した。 長官の事務所に寄せられた暗号資産詐欺の苦情は過去3年間でほぼ3倍に増え、報告された損失額は過去5年間で約5億ドル(約800億円、1ドル=160円換算)に達した。証言では、州・地方の法執行機関が全米の逮捕の約98.8%を担っている一方、司法省が2025年に暗号資産関連の訴追方針を縮小した点も問題視している。 ジェームズ氏は「ルールに基づく我々の市場システムは、ここで取引できるという信頼を人々に与えている。十分な法律と規制がなければ、金融危機が生じる」と証言で述べた。 その上で議会に対し、詐欺から顧客を守れなかったプラットフォームや仲介業者に金銭的責任を負わせること、ミキサーを経由するなど追跡不能な暗号資産の米ドルへの換金を禁じること、既存の州の送金・商品・証券法を適用除外にしないことを求めた。 クラリティ法案は2025年7月に下院を通過し、2026年5月に上院銀行委員会で可決されたが、本会議での採決はまだ行われていない。7月22日に修正版の条文が公表されたものの倫理規定を巡る対立が残り、採決を当面延期する方針だとの報道もある。 日本では7月15日に改正金融商品取引法が成立し、暗号資産が金融商品として位置づけられた。規制権限が金融庁に一元化されている日本では、アメリカのような管轄争いは起きないが、アメリカの最終的な規制枠組みは、海外取引所の規制や国際的なマネーロンダリング対策の水準を左右する。 |文・編集:井上 俊彦|画像:Shutterstock

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