鈴鹿央士主演のドラマ9「リーガルビート -逆転の法廷-」(毎週金曜夜9:00-9:54、テレビ東京/Leminoほかにて配信)の第3話「爆破犯のプライド」 が、8月7日に放送された。大和田獏と酒井敏也が演じた高齢男性同士の友情関係に、感動と祈りの声が上がっている。(以下、ネタバレを含みます) ■完全オリジナル脚本の痛快逆転リーガルドラマ「リーガルビート -逆転の法廷-」 吃音で満足に思いを伝えられず何度も悔しい思いをしてきた新人弁護士・泰地空(たいち・そら)は、ラップのリズムに乗れば言いたいことを思いのままに話せる特性を持っていた。 そんな彼が、慈善事業に精を出す雪村明日実(小雪)の弱小法律事務所に拾われ、現実主義の先輩弁護士・星秀幸(稲垣吾郎)とバディを組み、現代社会の不寛容や政治家の闇に立ち向かっていく完全オリジナル脚本の痛快“逆転”リーガルドラマ。 主人公・泰地を演じる鈴鹿は、ゴールデン帯連ドラ単独初主演。稲垣と小雪は、2008年1月期放送の「佐々木夫妻の仁義なき戦い」(TBS)以来、18年ぶりの弁護士役での共演となる。脚本は光益義幸氏、三浦駿斗氏、阿部凌大氏、監督は藤田直哉氏、市井昌秀氏。主題歌は高橋優の「鳥」。音楽はFace2fAKEが担当する。 第3話のゲスト俳優として、大和田、酒井の他、小日向星一、大塚ヒロタ、木戸邑弥、白瀬りか、中嶋ベンらが出演した。 ■大和田獏“清川”が隠す本当の秘密とは――爆破事件の真相に男性高齢者同士の友情が 第3話は、とあるビルの駐車場で健康食品会社「悠々ライフサポート」の社用車が爆発した事件に関する国選弁護のてん末が描かれた。 被告人は、清掃会社の元アルバイト・清川敏也(大和田)。学生運動が盛んだった50年以上前に、爆弾製造関与の疑いで誤認逮捕された過去があるという曰く付きの元花火職人だ。 実は清川は、爆破事件の1カ月前に、悠々ライフサポート社員・佐野(木戸邑弥)と揉め、清掃会社をクビになっていた。清川にバケツの水をかけられたと話す佐野は、「頭おかしいよあのじいさん。(爆破は)クビになった仕返しだろ」と馬鹿にする。 一方の清川は現場にいたことを認めつつも「これは俺自身の誇りの問題だ」と頑な。何かを隠していることを感じながらも、彼の無実を信じる泰地が「力になりたい」と伝えると、清川の自宅に残した金魚の世話を頼まれる。水槽のそばには、金魚の木工モビールが置いてあった。 行われた裁判員裁判で、「老人集めて高いサプリやら健康器具やら買わせる悠々ライフサポートに『詐欺みたいなもんだ』と怒っていた」という清掃会社の元上司・若林大貴(小日向星一)の証言、清川の自宅の畳から爆弾と同種の火薬が検出されたという検察側の捜査により、動機どころか物的証拠までそろってしまう。実刑が確実視される状況だというのに、隠し事を続ける清川。 清川の部屋で金魚を見つめていた泰地は、清川宛てではない郵便物に気づく。誤配を疑い、隣人に届けに行くと、「うちじゃないですよ」との答えとともに、不審な人物が清川の部屋に出入りしていたという情報を得る。泰地は、その不審者が郵便物の宛名にあった高木文太ではないかと疑う。 一方、逸る泰地を諌めつつ、別ルートで調査を続けていた星も、佐野に怯えていた派遣社員・島田(白瀬りか)から高木の情報を得ていた。島田によると、高木は佐野から発注ミスを押しつけられてクビにされた悠々ライフサポートの元派遣社員で、佐野が清川からバケツの水をかけられた理由も、普段から清川をいじめていた佐野が、「あぁいうクズには社会の厳しさ教えてやんねえと」とクビにして笑っていたからだった。 だが、高木は社員寮も追い出されていたため、現住所不定の行方不明状態。雪村が付き合いのある慈善団体に探りを入れ、炊き出し情報からネットカフェを中心に探していた泰地の前に、偶然、腰を痛めてうずくまる高木文太(酒井敏也)が現れる。 MCチキンの店で高木への聴き取りを行う泰地たち。件の郵便物は不採用通知で、住居のない高木に清川が住所を貸していただけだった。高木は鍵も持っておらず、不審者が目撃された時間はスポットバイト中だったことが分かる。そんな中、提供された定食に「僕は施しは受けません」と、腹を鳴らしながらも断る高木。泰地が「時間を作ってくれたことへの正当な対価です」と勧めたことでようやく食べ始める。 高木によると、佐野にいじめられているところを清川に助けられたことをきっかけに、たびたび会話を交わすようになったという。だが、その流れで高木が廃棄予定の弁当をお裾分けしようとすると、清川は「人の施しは受けない。そう決めている」ときっぱりと断る。 「キヨさんは強いなぁ。僕は弱気になるとヘラヘラしちゃって、何も言えなくなっちゃうよ」という高木に、清川は、「打ち上げ花火の中身見たことあるか?」と花火職人ならではの喩えで自身の哲学を語りだす。 「火薬の粒が均一にびっしり詰まっている。1ミリ隙間ができりゃ夜空では10メートルずれて花火が大きく歪むんだ。人生と同じだな。ほんの少しの甘えを自分に許せば、いずれ大きく歪むんだ」「人に媚びず、施しを受けず、自分の力で人生を切り開く。それが俺の誇りだ」という清川に影響され、「僕、弁当戻してくる」と主義を変える回想の高木。 今はスポットバイトで働きネットカフェで寝泊まりしているが、清川が佐野から未払いの残業代まで取り返してくれたおかげで何とかなっているという。そして、「弁護士さん、キヨさんがやってないっていうならやってないですよ。お願いします。僕、もう一度キヨさんに会いたいです」と頭を下げる高木。 一方、拘置所にて、「ごちそうさまでした」と食事に手を合わせる清川も高木について回想していた。金魚のモビールは、大工だった祖父に憧れていた高木の手作り。「じいちゃんが死んで、毎日必死で、夢や目標も持たず、気づいたら60だ…何なんだろうな、この人生」という高木に、「人の価値を決めるのは境遇じゃない。生き様だ」と語った清川。 それを受け、「キヨさんはかっこいいな…。僕の今の目標は、キヨさんみたいにかっこいいジジィになること。僕、発注ミスを押し付けられたけど、ちゃんと言ったよ、やってないって。結局クビになっちゃったけど」と、回想の高木は笑う。 ■たとえ無様でも――花火に託してきた矜持が、2人の遠い約束を照らしだす灯火となる 再び開廷される裁判員裁判。泰地によって、実は清川は残業代を取り返しておらず、自身の預金全額である7万5000円を引き出し、取り返したと偽って高木に渡していたことが明らかになる。衝撃を受ける高木。 泰地に「たしかに一人強く生きることは気高い/でもやむを得ず頼る/これはけっして甘えではない/花火とは違う人生/何度歪もうが助け合えば良いんです/1ミリの隙間許したって芯は固い/あなたの灯火が消えることはない!!」とラップで迫られた清川はようやく真実を語りだす。 「…あいつは俺みたいになりたいって言った。俺なんかを手本に上司に逆らって、住む場所まで失った。あの金はその詫びのつもりだった」 ところが、そのせいで清川自身が生活に困窮してしまう。服や家財道具を売ったが二束三文で食料はすぐに底をつき、水道水で空腹をしのいでいた彼は、ほとんど無意識のうちに事件のあったビルのゴミ捨て場で廃棄弁当を漁って食べるようになる。落ちて砂のついた米粒を夢中で頬張る自分に、無言で嗚咽しながら――。 「自分を恥じた。人としての誇りを失う気がした。人に媚びず、施しを受けず、自分の力で人生を切り開く。それを誇りと信じて生きてきたんだ…」。彼が無実を主張しながら、現場にいた理由を語りたがらなかったのは、このためだった。 真犯人は、偏った自己責任論に影響されて高齢者を優遇する社会への不満を募らせ、清川の自宅に侵入して火薬を残した上で犯行に及んだ元上司の若林だと判明。疑いの晴れた清川もついに、人に頼ることを受け入れ、泰地のサポートで生活保護申請書に記入する。 「人生の最後に、国の厄介になるなんてな…まぁせめて、さっさとくたばるさ」と口の悪さは変わらぬ清川。「やめてください。そんなこと言ったら悲しむ人がいるでしょう?」という泰地の台詞とともに、場面は夜の高台へ。 花火を見るため、息を切らしながら誰もいない高台へと登る清川と高木。高木は「職業訓練校で木工を勉強したんだ。キヨさんにもらってほしくて」と手作りの椅子を持ってきた袋から取り出して渡す。そして「岐阜の家具工場で住み込みの仕事が見つかりそうなんだ。この歳で見習いからだし給料安いけど頑張るよ」と報告。 早速座ってみる清川。「おい! これグラつくぞ」「ゴメン! 初めてだから許して~」「もっとマシなのできたら持ってこい。それまで俺も無様に生き延びてやる」「…うん、必ず」とわちゃわちゃしながら未来の約束を交わす2人は、遠くに上がる打ち上げ花火を静かに見つめるのだった。 ■シスターフッドならぬ“おじさんフッド”…高齢男性同士のケアを描いたドラマに絶賛 余韻のある2人のラストに対し、SNSには「最後の獏さんと酒井さんの後ろ姿で急にグッときたなぁ。高齢者にだって未来はあるよね」「肝心な見せ場でも少しカッコつかない2人の約束。泣いて笑って泣いた」「おじさま2人の友情にジーン。大人になっても友達が出来るのは素敵だな」「大和田さんと酒井さんの哀愁が切ない。でも希望も少しだけ見えて、温かいラスト」といった感動の声が。 中には、「大和田獏さんと酒井敏也さんの関係性がとても良かった…2人に特大の幸あれ…」「ふたりの友情、ハッピーエンドでよかった……!」「並んで花火を眺めるふたりが、穏やかに暮らせるよう願うばかりです」と、2人の先行きを祈るようなコメントまで。 さらに「シスターフッドならぬ“おじさんフッド”な回。男性同士のケアが描かれるってあんまりない。すごくよかった。このドラマ、毎回さりげなく良い形で社会課題を入れてくる。でも重くない。ほんとによいドラマ」「社会的弱者を照らすテーマ性が良い。今回は高齢者の友情話、福祉と男同士のケアの話だと思った」という分析も。 第2話も女子中学生2人の隠れた絆を描いたストーリーだったことから「2話も3話もとても良い友情の話だったな」「第1話の元同僚も、もちろんレギュラーメンバーも含めて、“2人”がこのドラマの裏テーマなのかも」と推し量るコメントも見られた。 そして、「大和田獏さんも酒井敏也さんも当たり前だけど歳を重ねたなぁと。いい演技だった」「2人のキャラクター造形と存在感が物語に深みと説得力を与えている。強さの中の弱さ、弱さの中の強さ」「央士くんや吾郎ちゃんの出演に食指が動いて見てる人も多いと思うけど、先輩方の存在により、一層満足感の高いドラマになっている」と、名優2人への賞賛も数多く寄せられていた。