◇60代以上の高齢者を狙い犯行 中国にコールセンターを設置し、韓国国内の60代以上の高齢者を狙って100億ウォン(約11億5000万円)規模のボイスフィッシングを繰り返していた組織が、韓国と中国の警察による国際連携捜査で摘発された。 江原(カンウォン)警察庁広域犯罪捜査隊は、中国吉林省公安庁と合同捜査を行い、今年3月末に中国でボイスフィッシング組織の海外拠点責任者ら10人を逮捕したと25日発表した。 逮捕された容疑者は、A容疑者(40代男性)ら韓国人6人と中国人4人だ。このうち韓国人メンバー6人は今月6日、韓国へ強制送還された。警察は6人を、ボイスフィッシングを目的とする犯罪組織に加入して活動した疑いと、通信詐欺被害還付法違反の疑いで逮捕し、今月13日に送検した。 今回逮捕された中国人4人は、組織の統括役、副統括役、管理役で、韓国人6人はいずれも電話を担当するテレマーケター(TM)だった。組織は中国にボイスフィッシングのコールセンターを設け、机やパソコン、携帯電話、インターネット電話(IP電話)などを備えたうえで、平日の午前9時から午後6時まで韓国国内の被害者を狙って犯行を重ねていた。警察が確認した被害額だけでも102億ウォンに上る。 ◇成功報酬として被害額の3~12%を受け取る 犯行は、緻密な役割分担のもとで行われていた。組織のメンバーは、カード配送員を装う1次対応役、カード会社のセキュリティー担当者を装う2次対応役、警察官または金融監督院職員を装う3次対応役、検事を装う4次対応役などに分かれ、被害者をだましていた。 主に、60代以上の韓国人の氏名や電話番号、住所などが記録された個人情報データベースを利用し、「デビットカードが発行された」などと連絡した。その後、被害者の携帯電話に、いわゆる「通話乗っ取り型の不正アプリ」をインストールするよう誘導した。続いて、被害者自身が捜査機関へ通報するよう誘導して疑念を払拭したうえで、警察官や金融監督院職員、検事などを次々とかたり、「あなた名義の口座が犯罪に関与している」「資産の確認が必要だ」などと言って、被害者を心理的に追い詰めた。 被害者には、自身の資産にひも付いたデビットカードを郵便受けに入れておくよう指示したり、暗号資産を自ら購入して送付するよう要求したりしていた。受け取ったカードや暗号資産は、韓国国内の資金洗浄役などを通じて犯罪収益として処理されていたことが、捜査で明らかになった。警察の調べによると、組織のメンバーは役割に応じ、成功報酬として被害額の3~12%を受け取っていたことが分かった。 江原警察庁と吉林省公安庁は、犯罪組織に関する情報を入手した後、合同捜査に着手した。中国で確保した証拠と韓国国内の被害状況をもとに、犯行期間や手口、組織メンバーの役割などを集中的に調べた。 ◇警察、余罪などについて捜査を拡大 特に、両国警察の連携により、犯行に使用された携帯電話を韓国に移送し、押収したことで、捜査が大きく進展した。 警察は、携帯電話から抽出したテレグラムでのやり取りや暗号資産による支払い記録などを分析し、韓国人メンバーが犯行の報酬として受け取った金額まで特定した。警察は現在、確保した証拠をもとに、余罪や韓国国内の関連組織などについて捜査を拡大している。 江原警察庁のチェ・ヒョンソク庁長は6月30日、中国吉林省公安庁を直接訪問し、ボイスフィッシングに関する犯罪情報の共有や容疑者の韓国への送還などについて積極的に協力することを盛り込んだ合意文書を取り交わした。江原警察庁は今回の事件を契機に、両国の捜査機関による情報共有から、現地での逮捕、証拠の確保、韓国への送還に至るまで、国際連携が一層活発になるものとみている。 チェ庁長は、「近年、ボイスフィッシング犯罪が海外を拠点に巧妙化・高度化していることから、海外の捜査機関との実質的な連携をさらに強化し、フィッシング犯罪の撲滅に率先して取り組む」と述べた。