40代男性一人暮らしの部屋から響く怒声。憂えた住人が居宅を競売にかける裁判を起こしたら…実際に起きた<マンショントラブル>の意外な結末

「この国で各地の地裁に起こされた民事訴訟は年間14万件、起訴された刑事事件は6万件。そのうちニュースとして報道されるのは、ごくごくわずかな一部にすぎません」と語るのは、日本経済新聞電子版の「揺れた天秤〜法廷から〜」を連載した「揺れた天秤」取材班。そこで今回は、この大好評連載をまとめた書籍『まさか私がクビですか? ── なぜか裁判沙汰になった人たちの告白』より一部を抜粋し、<学びになるリーガル・ノンフィクション>をお届けします。 * * * * * * * ◆1人の住人が乱す平穏 「103 備忘録」─。部屋番号が記されたメモに、男性入居者が繰り返した行為が時系列に沿って記されている。 一番古い記述は2014年10月。管理組合の理事長にとって10年に及ぶ「苦闘の歴史」だった。 築年数こそ古いが、最寄り駅からも歩いて数分と立地は申し分ない。住人は地域に根付いた学者や経営者が多く、賃貸で入る若い夫婦も溶け込んでいた。 理事長は40年以上にわたって、そのマンションで平穏な生活を送ってきた。

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