「お金儲けして何が悪いんですか?」名言生んだ20年前の“役者”が勢揃い…フジ・6月の株主総会は「委任状争奪戦」になる?

村上世彰氏、北尾吉孝氏、堀江貴文氏…フジテレビ再建をめぐる動きの中で20年前の“役者”が勢揃いしだした。 当時も総務省担当としてフジテレビの経営問題を取材したテレビ朝日経済部の国吉伸洋デスクに「過去」と「現在」について話を聞いた。 20年前のフジテレビの状況について国吉デスクは「2005年当時のフジサンケイグループは今と同じようにテレビ・新聞・ラジオ局・出版社といろいろあった。ラジオ局であるニッポン放送が中核企業として親会社みたいな形になって、その下にフジテレビやサンケイビル、ポニーキャニオン、さらにその下に産経新聞などがぶら下がる形だった。規模の小さいラジオ局が親会社になっていて、はるかに規模も時価総額も大きいテレビ局などが子会社になっているという“ねじれた”資本関係だった」と説明。 そして、この“ねじれた資本関係”に注目したのが村上ファンドを立ち上げた村上世彰氏だったという。 「ニッポン放送の経営権を握ればフジテレビを支配できるという構図になっていた。ニッポン放送は当時、東証の2部に上場していたが、時価総額はそれほど高くなかった。村上氏は当時、経済界の風雲児的な存在で、日本版の物言う株主の草分け的な存在だった。『お金儲けして何が悪いんですか』というような有名なコメントもある」 そして、当時の村上氏はこの“ねじれ”を解消しようとしたという。 「当時の村上氏はニッポン放送の株を10%以上取得して“ねじれ”を解消していこうとした。だが、フジテレビと連携しながら進めていたがなかなかうまくいかなかった。そこで、利益を出すことが至上命令であるファンドとして村上氏は“買い取り先”を探した。その時に声をかけたのがライブドアの堀江氏だったのだ。堀江氏はニッポン放送の株式を買い集めて筆頭株主となり、日枝会長率いるフジテレビ側と対立」 そこに突然現れたのがソフトバンクインベストメント(当時)の北尾氏だったという。 「北尾氏が現れて、ホワイトナイト(友好的な買収者)として、フジテレビ株を一時的に5年間ニッポン放送から借り受けてライブドアの買収を阻止した。これによってテレビなきニッポン放送の株にあまり興味がなかった堀江氏が諦めて、2005年の和解会見につながっていく」 当時の世論について国吉デスクは「まだインターネットが普及し始めた時期だった。堀江氏はITベンチャーの代表格とも言える人で、当時はまだ32歳。IT長者としてもてはやされていたが、『新興勢力であるITがフジテレビを乗っ取るのでは』と捉えられた。だから経済界も世論もおおむね堀江氏に対しては批判的だった。そして後に村上氏はライブドアから株の大量購入の話を聞いてその後ニッポン放送株を売却して利益を得たということで、インサイダー取引で逮捕された。堀江氏も粉飾決算などで逮捕されるということになった」と説明した。 それから20年が経過。 現在のフジ・メディアHDの株式の状況としては「日本マスタートラスト信託銀行=12.2%」「レノ(旧村上ファンド系など)=11.8%(4月10日時点)」「東宝=8.7%」「ダルトン・インベストメンツ=5.8%」「レオス・キャピタルワークス=5.1%(2月時点)」となっている。 日本マスタートラスト信託銀行は年金管理に特化した会社であるため、実質的には旧村上ファンドと野村絢氏(村上世彰氏の長女)が筆頭株主といってもいい状況だという。 また、かつてのホワイトナイト、北尾氏は20年の時を経て、今度はフジHDを厳しく批判する側に回り、4月17日の会見では「つくづく僕は堀江君に悪いことをしたなと。20年前の判断は珍しく外れていた。僕はあの人はこの分野にも知見があるし、能力も極めて高い人だと思う。あの人の能力を生かすということは僕としてはぜひやりたい」と述べている。 存在感を増しているがアメリカのアクティビスト、いわゆるもの言う株主であるダルトン・インベストメンツだ。彼らは何を求めているのだろうか? 国吉デスクは「ダルトンが求めているのは、まずは企業風土の改革、それからビジネスモデルの変革だと思う。だから、その目的に向けて各方面からいろいろな人材、専門家を集めてきている。ただ、その取締役候補の中にフジテレビの人間が一人もいないという点は不安、社員のモチベーションの問題もある。4月17日に記者会見を開いたSBIホールディングスの北尾氏も『清水社長は残してもいいのでは』というような話をしていた」と説明した。 レオス・キャピタルワークスについては「藤野社長には二度ほどインタビューしたが、物言う株主とは一線を画している。会社側あるいは別の大株主との対話をしながら企業価値を上げていくというやり方で、物言う株主とは全く違って、対話路線というのがレオスの特徴。対立はしない方向性だ」と述べた。 この先、6月末頃に株主総会があるがそこに向けて何か動きはあるか? 「まず会社側とダルトンが何らかの形で話し合いをすることによって、両方の案の妥協案、あるいは折衷させた案を出せるかどうかが大きなポイントだ。うまく妥協案が出せれば、その案で一本化して、株主総会でそれを可決する形で、会社と大株主が対立しないで済む可能性が今のところ高い。それがうまくいかなかった場合、会社側の提案とダルトン案で真っ向対決して、委任状争奪戦(プロキシーファイト)になって、両者が株主総会で激突するというような展開も予想される」 (ABEMA /倍速ニュース)

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